【公式】the Afrothumbs feat. Kiyoshi Suzuki『CHAAD 親指ピアノと神秘のサウンド』のアルバム解説 | ワールド | 音楽

1. CHAAD [Improvisation]  > 11:24

倍音たっぷりの音列楽器(演奏できる音が一定の音列に配置されている楽器=カリンバ、マリンバ、ハープなど)の、めくるめくアンサンブルに、独特の音色をもつゴング(銅鑼)やダンモイ(ベトナム口琴)が彩りを添える。カリンバ・アンサンブルの新境地。

ヴィブラフォンに音色設定したキーボードがまるでガムランのようにうねり、浮かんでは消えるカリンバのメロディはあくまで神出鬼没。

それらが有機的に絡み合い、新たなグルーヴとなっていく様はまさにジャズ。

曲名の「チャット=アフリカの覚醒葉」を連想させる、トランス度満点の迷宮のようなサウンド。

 

2. Mpumalang  [Improvisation] >4:51

2台のカリンバのアンサンブルに、壺太鼓というシンプルな編成。時折聞こえてくる能天気な口笛のブルージーなメロディ。それらの牧歌的な雰囲気を一変させ、一層奥行きあるサウンドに仕上げているのは、サックバット(トロンボーンの祖先楽器)の破裂音の交じった特徴的な音色。

ムプマラングとは、スワジ語で「太陽の昇るところ」という意味。ガーベラの原種が咲き誇る南アフリカ北東の広大な土地の名前でもある。

そんな光景を思い浮かべつつ、希有なサウンドにぜひ身を委ねていただきたい。



3. Jellyfish  [Improvisation]  >7:49

ゆったりとしたカリンバとカホンにのって、ハーモンミュート・トランペットが、まるでクラゲが水中をたゆたうがごとくに、音を紡いでゆく。

モードによるインプロヴィゼーションの手法はジャズにも通ずる。

シンプルな構成で、カリンバの持つ独特のビート感を活かしつつ、フワフワと心地よい音風景が描かれていく。

 

4. Cocobolo  [Improvisation] >8:00

ラテン・カントリー調な、明るいギターのリフに絡むカリンバは時に旋律、時に分散和音でコード感を、時にはビートを刻みながら変幻自在。メロディーはウインドシンセからフォークフルート、再びウインドシンセへと移り変わっていく。

いわゆるアフリカンなカリンバとはひと味違う、もうひとつの可能性。

ココボロとは、その堅さゆえ、楽器と銃座の両方に用いられる中南米産の木材。
No more arms!  We want Music!

 

5. Vendaval  [Improvisation] > 2:52

タイトルは、スペイン語で強い風、ひと時の興奮といった意味。

深めのリバーブが利いた美しいカリンバに絡みつく、風のような深く倍音たっぷりの音色を持つ笛は、スロバキアの羊飼いの笛・フヤラ。倍音を演奏するための、いわゆるオーバートーンフルートと称される、東欧圏に伝わる珍しい楽器。

このフヤラという笛は、ユネスコによる「人類の無形遺産」にも認定されている極めて貴重なものです。



6. September Butterfly Bush  [Gregorian Chant] > 7:50

木と竹で作られたサンザとソウルフルなギターのカッティングにのせて、演奏されるオルガンの旋律。グレゴリオ聖歌としても有名な『怒りの日』の一節だ。

そのメロディをテーマに、シンプルで素朴なサンザの響きとモダンでジャジーなフルートの演奏が、グルーヴィーに繰り広げられていく。

まさにアフロサムズならではの、対極の要素がいくつも重なり合って、新たな地平を生み出すようなサウンドだ。

 

7. Okavango  [Gregorian Chant] >10:41

美しく、ノリの良いカリンバのアンサンプルを中心に大河小説のようにスケール大きくり広げられる自然讃歌。

赤い大地をうねりながら流れていく大きな川は、やがて海へと続くことなく、広大な砂漠の上で蒸発して忽然と消えてしまう。

アフリカに実在する内陸河川をテーマに、カリンバとエレキギターやフルートといったモダンな西洋楽器がひとつの叙事詩を描き上げる。

途中から、ジャンベやトーキングドラムなどアフリカの打楽器も加わり、彩りを添える。

 

the Afrothumbs【アフロサムズ】

母なる大地アフリカのサウンドやビート、
空気感や人々の営みにインスピレーションの源を得て、
カリンバ(親指ピアノ)を中心としたアフリカ起源の
プリミティヴな楽器たちが生み出すシンプルで力強いサウンドと
西洋楽器のモダンなフレーバーの融合を試みる、 異種格闘技バンド。
全曲、セッション・コンポージングによるオリジナル。
インプロビゼーションの醍醐味を追求する、
ジャズ寄りのワールドミュージックとして積極的に展開中。

シーズン1は、 日本のアフリカ音楽の草分け、
カリンバ&パーカッション奏者スズキ キヨシを中心に据え、
カリンバ・サウンドの多様性を表現。

Kiyoshi SUZUKI [Kalimba, Talking Drum, Percussion]
Kuni KUROSAWA [Flute, Trumpet, Wind Synth, Guitar, etc.]
Masao NAKAMOTO [Kalimba, Guitar, Cajon, Udo, etc.]

 

品番 iota-023
配信開始日 2020.07.22
収録曲数 全7曲
収録時間 52:59

 

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ライター 黒澤邦彦(tacto rustico label/Founder, Musician)

黒澤邦彦(中世音楽家、民族楽器演奏家、作・編曲家、プロデューサー)
30年以上にわたる中世ヨーロッパ音楽家としてのキャリアに裏打ちされたマルチ・インストゥルメンタリスト。管弦打楽器をさまざまに操り、ブラジル音楽、ケルト音楽、アラブ音楽、アフリカンゴスペル、など多岐にわたる分野で活動中。
これまでに『AEORUS』『NRP Records』両レーベルから計7枚のリーダーアルバムを発表したほか、Final Fantasy IXの音楽制作などにも携わる。鎌倉を拠点とする極私的レーベル『tacto rustico』にて異なるジャンルの24枚のアルバムをリリース。





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【studio iota label】

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