【ターロック・オキャロラン】アイルランド最後の吟遊詩人を知っているかい? | ケルト音楽の郷愁[Eleanor Plunkett]

君はオキャロランを知っているかい?

 

大陸が絢爛豪華なバロック期の音楽で盛り上がっている頃、決して流麗とはいえない、しかし純粋で透明で美しい旋律を多く残し、世のご婦人たちのハートをつかんで離さなかったアイルランドの盲目のハーピストにして、作曲家。

島国アイルランドではバロック期にこんなにも素朴な旋律が奏でられていたのだ。

 

ケルト文化における吟遊詩人にして、語り部、楽人とも位置づけられるBardの系譜を受け継ぐ彼の作品は、本当に美しくロマンティックな旋律の宝庫といえる。




それでは『Greensleeves』ならどうだろう。あー、それなら分かるって?

PPMが歌ってた。いや、平原綾香だって歌ってるし、何ならレゲエの曲として認識している人だっているかもしれない。

でも、本当は16世紀エリザベス朝の頃にかのシェイクスピアによって取り上げられて有名になった、それ以前から口伝で、イングランド〜スコットランド辺境地帯に伝わっていた古い曲だということを知っている人は、きっと少ないに違いない。

 

こうした曲たちは、ボーダーランド・バラッドもしくはBorder Balladsと呼ばれ、いつ誰によって作られたのかさえ不明なものが多いんだ。これもまたロマンに満ちあふれた逸話。



そして、『緑の袖(グリーンスリーブス)』の意味を知れば、またさらに君の興味はそそられるに違いない。

いつの時代も、人は不倫にまつわるゴシップが大好きなものだからね。

 

中世のヨーロッパにおいて、真実の愛(True Love)とは、他人の妻に寄せる純粋で熱き想い。つまり、プラトニックで狂気に満ちた道ならぬ恋ということ。特に貴族、騎士たちの間ではそういうことになっていたらしい。そんな時代の、女性たちが装う緑の袖は既婚者の印。

曲には、人妻に寄せた恋心をつれなくされた男のやるせなさや嘆き節が綴られているという。

 

男ってやつは…

 

おや、どうやら少しばかり話し過ぎたようだ。つづきは、音楽の中でお愉しみください。

 

 

 

[Profile] 栗沢右近(文筆家・詩人・作詞家・訳詞家・料理家)

1958年、川崎市生まれ。直に武蔵野市に転居。自宅隣にあった米軍居住専用区域(通称:グリーンパーク)に金網を乗り越えて侵入(本当は治外法権)し、以降6年間にわたり、日本の中の外国へ毎日通い詰める。
’81年、明治学院大学文学部フランス文学科卒業(現代詩、近代フランス音楽批評専攻)。在学中に、天沢退二郎、巌谷國雄、入沢康夫、清水徹、工藤庸子ら錚々たる詩人・文人に薫陶を受ける。

卒業後、株式会社エディターセンター(時事通信社校閲部)に入社。官庁向け日刊誌編集・校閲・制作工程管理並びに地方紙への配信ニュースの原稿整理・校閲などを担当。また、この頃から記事の執筆も開始する。一方で、並行して編集者、建築家、デザイナーなど7人からなる事務所組織“ユニゾンハウス”を設立。食と旅のエッセイ&レシピ集、Macintosh日本版のマニュアル等を刊行。

やがて、1986年(株)エディターセンター退社と同時に、有限会社ユニゾンハウスを設立。代表取締役社長に就任。以降、クリエイティヴ・ディレクターとして、各雑誌やムック、単行本、CD、写真集、ショップ等のプロジェクトにおいて、ヴィジュアル面のみならず、コンセプト・メイキングから企画書作成、記事やコピーの執筆・制作、リリース制作、評論に至るまで多岐に亘って担当した。

’01年、湘南に暮らす料理関係者のネットワーク”EarthNet FoodWorks” の創立とともに参加。

『カフェめし2002〜Indies Cafe』『ポケットシェフ・シリーズ』 等書籍においてレシピ企画・制作、調理のスタッフとして参加。
作詞家としては『聖韻房』を設立、13世紀スペインの歌曲に日本語詞を施すプロジェクトをはじめ、ロンドンの教会聖歌隊のためにラテン語詞をのせた聖歌の編曲を行ったり、日本音楽教育連盟制作の古楽CDシリーズの解説および鑑賞冊子『古楽1000年の歴史』においてラテン語詞、古フランス語詞の翻訳および監修を行う。



 

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湘南の腹ペコミュージシャンは、みーんな大好き。江ノ島電鉄線・鎌倉駅より徒歩2分にある、隠れ家的なカフェ・ワンダーキッチン(WanderKitchen) のマスターの、民族音楽レーベル『Tacto Rustico』の作品を、studio iota labelより一挙250曲リリース!

今回はトラディショナルなケルト音楽の入門編と、新しい応用編のアプローチを2作同時にリリースです。

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