ケルト音楽集【公式】the MoonNotes『a connotation アイリッシュエアの深淵』のアルバム解説 | ワールド | 音楽

ケルトの美しい旋律の持つ癒しをテーマに、スコットランドやアイルランドをはじめ、世界中のケルト音楽演奏家に愛されている美しい旋律を持つエアの世界。

DADGAD チューニングの 9 弦ギターのきらびやかな響きが アイリッシュフルートの柔らかな音色を包み込み、シンプルでいて味わい深い独自の世界を創り上げています。

 

1. 亜麻色の髪の乙女 Cailin na Gruaige Doinne class
 [Brown Haired Girl=Scottish Slow Air] > 4:24

スコットランドやアイルランドをはじめ、世界中のケルト音楽演奏家に愛されている美しい旋律を持つ3拍子のスローエア。

歌詞も付されていて、ある若い農夫が一生手に入れることのできないであろう美しい少女に恋をする物語が歌われている。

ここでは、農夫の葛藤を表わすかのごとく、ノイジーなサウンドのインパクトのあるエレキギターソロで始まり、やがて清らかな心の平穏へ=アコースティックギターとアイリッシュフルートの切なく心に染みる演奏へと続く。

 

2. イニシアから東島 Inis Oírr
 [Inisheer=Irish Trad.]
 > 2:37

タイトルは、アイルランドの西岸、ゴールウェイ湾に浮かぶアラン諸島を成す島のひとつの名前。イニシィアは「東の島」という意味のゲール語でアラン諸島では最も小さく東端に位置する。

アイルランドはダブリン出身の T.ウェルシュというアコーディオン弾きの作曲による現代のトラッド。

この曲の特徴ある名旋律に魅せられたマニアもいるほど、魅力を湛えるとともに、演奏者によって個性が際立つ曲ともいわれる。中間部には「Bridget Cruise, Third Air」という別曲が挿入されている。




3. 美しきドゥーン川の岸辺 Ye Banks and Braes
[Scottish Song] 
> 3:05

スコットランドが生んだ世界的詩人、Robert Burns の手になる歌詞が付された有名曲。

あるスコットランドの少女が、国内を放浪する何人もの情熱的な若者から誘惑されるという悲恋を歌ったもの。彼女は彼らのひとりに恋をするが、やがて相手は離れてしまい、赤ちゃんだけが彼女のお腹に残される、というひどい結末。

そして途方に暮れた少女は、ドゥーン河を見下ろす丘をさまよう。そんな悲劇がロマンチックで美しい旋律によってオブラートに包まれる。

中間部には無謀にも相性がいいという理由だけで、アイルランド・バロック期の天才作曲家T・オキャロランの「Planxty Irwin」が挿入されている。

 

4. 日暮れのエア Sunset over Ayr
 [Scottish Slow Air]
 > 4:28

Ayr (エア) は南西スコットランドの港町。エアシャイア州最大の集落にして、13世紀からつづく自由都市である。

その港町に夕陽が落ちる様を描いた美しい3拍子のスローエアを、最初はジャズワルツ風のビートで、中間部に同じスコットランドのワルツ「So Long」を挟み、続けて4拍子のフォークロック調なカッティングに乗せて演奏している。

J-POP にもありそうな、ポップでストレートで熱く明解な旋律が心に響く。

 

5. ニールガウの2番目の妻のための挽歌 Niel Gow’s Lament for his second wife
 [Niel Gow]
 > 6:06

N・ガウはスコットランドを代表するフィドラー、作曲家として18 世紀後半から 19 世紀初頭にかけて名を馳せた人物。彼の息子たちもそれぞれ同様の道を歩んだ。

彼が二人目の妻・Margaret と結婚したのが1768年。その後、幸せな結婚生活を送ったが、1805年に彼女が死んで以来、しばらくフィドルを弾くことをやめてしまったそうだ。

そして、再びフィドルを弾いた時、初めて演奏したのがこの曲といわれている。深い哀しみと消えない情熱に満ちた、演奏するにも言葉にできないエネルギーを必要とする難曲だ。




6. スカイ島の舟唄 Skye Boat Song
 [Scottish Folk Song]
 > 4:20

1746 年のカローデンの戦いで敗れたチャールズ・エドワード・スチュワート(美王子チャーリー)のスカイ島への逃避行を歌った古謡。

チャーリーはメイドに変装した貴婦人フローラ・マクドナルドの助けを借り、小舟で荒波を越えスカイ島を目指したのだった。

この歌が最初に出版されたのは1884 年、ロンドンでのこと。その楽譜集は少なくとも14 版を数え、その後も様々な曲集に取り上げられ、瞬く間にスコットランド、アイルランドのみならず英国中の人気曲となった。

荒々しい歌と高音のアイリッシュ・ファイフの演奏とのコントラストが印象的だ。

 

7. 極光 Northern Lights
 [Scottish Tune Medley]
 > 3:19

よく知られているスコティッシュ・ワルツ「Northern Lights of Old Aberdeen」とは別曲だが、同じ「オーロラ=北極光」をタイトルに持つ、ゆったりと美しいワルツから始まるこの演奏は、

やがてスコッチ・スナップという独特のリズムを伴うスコットランド特有の旋律による「Scotch Mist」、

かわいらしいタイトルと曲調の小曲「Daisy Daisy」へと連なり、

再度 「Scotch Mist」へ戻って終止するという、スコットランド的な雰囲気を存分に堪えたメドレーである。

ちなみに Scotch Mistとは、霧雨まじりの濃霧のこと。

 

8. 小さな妖精、大きな妖精 Sí Beag Sí Mór
 [Turlough O’Carolan]
 > 5:07

17 世紀後半から18 世紀中期にかけて、多くの佳曲を残した盲目のハーピストにして天才作曲家 =T・オキャロランの処女作といわれるのがこの曲。

彼は生涯に多くのパトロンに仕え彼らの名を冠した作品を数多く残しているが、最初のパトロン、ジョージ・レイノルズが語って聞かせた当地の伝説をテーマに作曲して捧げたといわれている。

「大きな妖精の丘、小さな妖精の丘」と題されているように、この二つの丘に住む妖精同士の戦いにまつわるエピソードらしいが、それとは相反したロマンティックで穏やかな旋律だ。

ここでは、DADGAD ギターのソロから始まり、オーボエを思わせるウィンドシンセでクラシカルに演奏されている。

 

9. ケルヴィンの木立 Kelvingrove
 [Celtic Trad. Medley]
 > 7:13

このアルバムの最後を飾るのは、あまり例をみない6 曲ものワルツや3 拍子のエアをつないだトラッド・メドレーだ。

「Road to Dundee」ダンディはスコットランド第4 の都市。

「Young Jane」はオールドタイムワルツとして知られる曲。

「Merch Megan」は古くから伝わるウエールズの3拍子のエア。

つづいて「Mexican Waltz」という名のメキシコ風の旋律を持つスコティッシュ・ワルツ。

「Pam’s Fancy」はモダンな味わいを持つケルトっぽくないおしゃれなワルツ。

そして、グラスゴーに広がる雄大な Kelvingrove Park の自然を描いた「Kelvingrove」へと連なりゆったりと優美に締め括られる。

 

品番 iota-028
配信開始日 2021.05.20
収録曲数 全9曲
収録時間 40:39

 

Spotify(クリックすると音楽が流れます)

 

ぜひ焚火動画と一緒に全曲視聴してみて下さい🙌

 

 

ライター 黒澤邦彦(tacto rustico label/Founder, Musician)

黒澤邦彦(中世音楽家、民族楽器演奏家、作・編曲家、プロデューサー)
30年以上にわたる中世ヨーロッパ音楽家としてのキャリアに裏打ちされたマルチ・インストゥルメンタリスト。管弦打楽器をさまざまに操り、ブラジル音楽、ケルト音楽、アラブ音楽、アフリカンゴスペル、など多岐にわたる分野で活動中。
これまでに『AEORUS』『NRP Records』両レーベルから計7枚のリーダーアルバムを発表したほか、Final Fantasy IXの音楽制作などにも携わる。鎌倉を拠点とする極私的レーベル『tacto rustico』にて異なるジャンルの24枚のアルバムをリリース。


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アコースティイクギター、フルート、バウロン(アイルランド音楽に用いられるフレームドラム)による、オーソドックスなアイリッシュ・ダンス・チューンの世界と、
ケルトの美しい旋律の持つ癒しをテーマに、スコットランドやアイルランドをはじめ、世界中のケルト音楽演奏家に愛されている美しい旋律を持つエアの世界を、2作同時にリリースです。

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