【作品紹介】
アコースティックギター、フルート、バウロン(アイルランド音楽に用いられるフレームドラム)による、オーソドックスなアイリッシュ・ダンス・チューンの世界。
グルーヴと選曲の妙に身を委ねて楽しんでいただきたいです。
1. Crossing the Minch [Scottish Hornpipe/Reel] > 3:24
スコットランドにおけるパイプ・マーチ(バグパイプで演奏される2分の4拍子の曲)として良く知られるこの曲は、一方でホーンパイプともスコティッシュ・リールともいわれることがあります。
いわゆるScotch Snap といわれる付点のあるはねるような音符に続く細かく刻まれるいくつかの音からなるフレーズがとても印象的な実にスコットランドらしい曲です。
ここではルネサンス・ピッコロによって、バグパイプで演奏されるよりもずっと速いスピードで演奏されています。
2. Wild Slides [Irish Slide medley] > 4:10
O’Keefe’s Slide / Mary Willie’s Slide / The Weavers
ブルージーなギターとハンマーダルシマーのリフからはじまるスライド (12分の8拍子=シングル・ジグとも呼ばれる)のセット。
マイナーの『O’Keefe’s Slide 』 からDメジャーへと移り、楽しげな演奏が繰り広げられる。
2曲めの『Mary Willie’s Slide 』は the Cat rambles to the Child’s Saucepan (ネコは子供のソースパンへとブラブラ歩き)というお茶目な別名も持っていて、その名の通り、部屋の中をそぞろ歩く猫の姿が眼に浮かぶようなにぎやかな曲だ。
3. the Boys of Blue Hill [Irish Hornpipes medley] > 4:03
Cronin’s Hornpipe / the Boys of Blue Hill
16 世紀からヨーロッパで踊られていたという4分の4拍子の舞踊スタイル。
均等なビートで中庸の速度をもつものと比較的ゆっくりでバウンスする特徴的なリズムをもつものの2種類があり、時にそれらが同時に介在する場合もある。
ここでも、バウンス・リズムをもつ「Cronin’s Hornpipe』とフラットなビートのホーンパイプの代表曲とも称される『the Boys of Blue Hill』が続けて演奏されている。
4. Lady Doc [Irish Reel medley with original Reel] > 4:12
Lady Montgomery / Doc’s memory of the Picnic / Rockfield Reel
伝統的な AABBという構成のアイリッシュ・リールに続き、オリジナルの変則的な4パート・リールが演奏され、やや異なった趣を醸し出した後、
ABABというシンプルな構成ながらマイナーなコード感が特徴的なアイリッシュ・リールがさらっと奏されて終わる、短いながら印象に残るリールのセットだ。
最初のリールは Altan、最後のリールは Lunasaというアイリッシュの代表的なバンドの演奏で知られている曲。
5. Daphne [Irish Jig based on 17th century song] > 3:14
17世紀よりさらに昔、おそらく中世の頃から、ヨーロッパ中に伝わり、各地でさまざまな編曲やヴァリエーションが生み出されて来た知る人ぞ知る名曲『ダフネ』。
アポロ神の暴虐から逃れるため月桂樹に身を変えたという神話に基づくダフネの逃避行のお話。
そもそも歌詞のついたれっきとした歌であるこの曲のジグ版がいつ誰によってつくられたのかは定かではないが、アイリッシュのレパートリーとしても、今日なお愛されている。
ここでは、アイリッシュフルートとメロディオンの哀愁ある音色で情感たっぷりに歌われている。
6. If We Hadn’t Any Women In The World [Barn Dance] > 3:01
Calliope House / Barney Bralligan’s/ Lark in the Morning
ダブル・ジグ(6/8拍子)に挟まれたスリップ・ジグ(9/8拍子)という構成を持つ。
ただし、1曲めの『Calliope House』は最後にもう1回Aパートのみ演奏されている。
あえてのどかさ、田舎っぽさやいなたさをもつ曲調を際立たせるべく、ジグとしては比較的ゆっくりめのテンポでスタートする。
下手をすると中途半端でダンスチューンらしさを欠き、フレーズ、ビートともにまとまりにくい難しさを孕んでいるが、各曲の魅力を際立たせることに挑戦している演奏といっていいだろう。
7. Fairy Dance Magic [Irish Reel medley] > 3:50
Largo’s Fairy Dance / John Brennan’s / Merry Blacksmith
素朴で土着的な匂いをもつ短い旋律は、19 世紀初頭にスコットランドのナサニエル・ガウによって発表された『Largo’s Fairy Dance』。
のちに20世紀初頭、スコットランド音楽、特にフィドル音楽の重鎮でストラスペイ・キングとも呼ばれたJ.S.スキナーによってヴァリエーションに編曲され、有名になった。
続けて『John Brennan from Sligo』、『Sleigh Ride』というそれぞれ別名をもつふたつの代表的なアイリッシュ・リールが、
珍しい2本のアイリッシュフルートによるユニゾンで、あえて全体に速くならない落ち着いた演奏にまとめられている。
品番 iota-027
配信開始日 2021.05.20
収録曲数 全7曲
収録時間 25:36
Spotify(クリックすると音楽が流れます)
ぜひ焚火動画と一緒に全曲視聴してみて下さい🙌
ライター 黒澤邦彦(tacto rustico label/Founder, Musician)
黒澤邦彦(中世音楽家、民族楽器演奏家、作・編曲家、プロデューサー)
30年以上にわたる中世ヨーロッパ音楽家としてのキャリアに裏打ちされたマルチ・インストゥルメンタリスト。管弦打楽器をさまざまに操り、ブラジル音楽、ケルト音楽、アラブ音楽、アフリカンゴスペル、など多岐にわたる分野で活動中。
これまでに『AEORUS』『NRP Records』両レーベルから計7枚のリーダーアルバムを発表したほか、Final Fantasy IXの音楽制作などにも携わる。鎌倉を拠点とする極私的レーベル『tacto rustico』にて異なるジャンルの24枚のアルバムをリリース。
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アコースティイクギター、フルート、バウロン(アイルランド音楽に用いられるフレームドラム)による、オーソドックスなアイリッシュ・ダンス・チューンの世界と、
ケルトの美しい旋律の持つ癒しをテーマに、スコットランドやアイルランドをはじめ、世界中のケルト音楽演奏家に愛されている美しい旋律を持つエアの世界を、2作同時にリリースです。
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【studio iota label】
日本の音楽レーベルstudio iota labelではCDの制作・販売、WEBコンテンツの発信、企業のWebライティング、動画BGM製作、アーティストやお店などの写真撮影、作曲・編曲事業、レコーディング・ミックス事業などを行っています。
【ウェブサイト】http://studio-iota.com/
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