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【リズム音楽世界旅紀行】

皆さん、こんにちは!Groove冒険家のZin “Atrevido” Hitoshiです。

メキシコに家を買い、職人さんに混じってマイスタジオ防音室防音ドアを作っている最中。

さまざまな道のりがあったので、3部作になっております。

 

◆第一弾◆
日本人にとっての防音とは外に漏れない、ラテンアメリカ人にとっては中に入ってこない【海外移住3年目に起きた大きな変化】

◆第二弾◆
一級建築士が教える防音について大事な「遮音、吸音、制振」について【海外生活で防音室をリノベDIY】

 

本編は第三弾の記事。

防音ドアを、自作してみました!

それではいってみましょう♪

 

大本命、防音ドア作りに着手!!

防音室事情で、一番お金が掛かって重要なのが防音ドアです。

それは日本でも海外でも同じこと。

防音室自体はもちろん大事ですが、しっかり防音したところで外に音が漏れてしまっては台無しです。

出入り口になるドアは、最大の音漏れ箇所でしょう。

 

重要な防音ドアですが、日本で購入し、施工までしてもらったら

100~150万円 掛かるみたいですね。

 

それもそのはず・・・

ドラムにまで対応できる防音ドアは、基本的に80~100kgくらいの重量が必要です。
→遮音性能は質量で決まる。記事第二弾参照

支えられる蝶番も、

密閉させるためのドアノブも超重量なのです。

施工するのも大工事ですね。

 

ところでメキシコでは、防音の概念がほぼ存在しないため、売ってもいないのです。

もちろん僕には100万円なんて、そんなお金もない。

→記事第一弾参照

 

ないなら作る事にしました!!!

 

 

防音に必要な、
重さ、質量を満たすため、鉄製のドアにすることにします。

 

メキシコ人
木製でいいんじゃないか?
中は発砲スチロールを入れればバッチリだ!
Zin
アハハハ(笑って流す)

 

防音扉の自作方法を公開していきます!

防音扉を自作するにあたり、

外の枠組みは鉄中にはコンクリを流し込む事にしました。

  • まずは溶接機を調達。作業台も作ります。

実は僕、発電所で働いていたことがありまして、溶接免許も持っています(笑)

とはいえ、まだ見習いでしたから親方が仕事をするのをちょっと手伝っていたくらい・・・

溶接期間は1年程度で、かれこれ25年も前の話です。

今の僕に残っているのは、その時のヤケドの痕くらいなもの。

 

ですが溶接はテンションアゲアゲなお仕事のひとつ。ガゼンやる気が上がります⤴️

溶接の手順

まずは枠作り。

アングル(L字)の鉄枠を購入し、サンダー(鉄をカットしたり研磨する器械)でカット。溶接して枠の完成です。

この時点でキッチリ90度になるように注意を払います。

対角線をメジャーで測るとちゃんと90度になっているか分かる!とのこと。

知らなかった~。

 

鉄枠は厚めを購入。

理由は、できあがりのドアの重量の希望値、

100kg に充分耐えうる枠という事で。

 

ここでラッキーが起こります。僕の家のお隣さんが、鉄骨類を売るお仕事の方!
常連さん価格で販売していただきました(コストカット♪)

 

次に片面に鉄板を溶接。

いよいよコンクリの流し込みです!

-サイズ-
枠厚 5cmのドア、横幅 80cm、縦 200cm
といったところでしょうか。
職人さん
(重量が)重たくなりすぎるから、半分の2.5cmコンクリ入れて、残りは発砲スチロールでどうか?
Zin
いやいやいや!全面コンクリでしょ!何を言ってますやら!

全面、全容積コンクリ流し込みです!

 

2日間ほど固まるのを待ってから上側にも鉄板を溶接してドア板の完成です!!

と・こ・ろ・が…。。。

いざ防音室に運ぼうとしても持ち上がらない。というかビクともしない。

 

Zin
グヌゥをををををををを~~~~~!!(叫んで持ち上げる)

20cmも持ち上がりません!!!

ドアが重たすぎて運べない

一級建築士の父にドアのサイズを伝えて計算してもらったトコロ、速攻で返信が。

My 父上
おい!それは200kgはある!絶対ヤバイ
ドアが開かなくなったら完全に閉じ込められるぞ!
もしくは蝶番が壊れて倒れてきたら確実に死ぬ!
作り直せ!

 

Zin
ええええ~~~~っとどうやら職人さんのアドバイスをちゃんと聞いておけば良かった

鉄枠 & 全面コンクリ製 ドアの重量、

ゆうに、

100kgオーバー。

焦って職人さんに作り直しを提案するも、

職人さん
もう作っちゃったんだからこれで行こうぜ!な~に、大丈夫だ!

と、力自慢の職人さんを3人ほど連れてきて、200kgの防音扉を運び、

なんとか防音室まで到着しました!

ドアにドリルで穴を開け、ドアノブと鍵を取付けて完成

寝かした状態でのドア枠の中にドアを落とし込み、蝶番を溶接

父のアドバイスを聞き、超重量に耐えられる蝶番を多めに付けてもらいました。

もはや銀行の金庫ドアレベルですね。

 

それを色々な道具とマンパワーを駆使して、部屋のドア部に差し込み、

壁に埋め込んだ鉄骨と溶接していきます。

 

無事溶接完了!

ドアにドリルで穴を開け、ドアノブと鍵を取付けて完成!!

見て下さい、この重厚感。

超重量級のドアなのが見て取れますよね。

 

でも、左の写真をよく見てもいただくと

ドアノブが付いてませんね?

本当は付いていたんです…。

心配的中、超重量級ドアに閉じ込められる。

実はちょっとした事件がありました。

写真をご参照ください。ドアノブが付いているのがお分かりでしょうか?

このドアノブは、普通の家のドアノブです。

Zin
200kgの重量だよ? 密閉にも耐えられらないと思うし。
日本によくあるような防音ドア用のドアノブを作って付けて欲しいんだけど。

 

職人さん
な~に、大丈夫だ!お前は心配し過ぎだ。全然問題ない!

 

さらには、ドアの周りにする音漏れ防止のゴムパッキンも特に必要ないと。

ここ、本当に重要でテストに出ます(笑)

要は防音とは、空気と振動の遮断です。

 

案の定、普通のドアノブ & ゴムパッキンが無い状態では、ただの話し声すらダダ漏れ

せっかくの200kgドアも意味が皆無に等しい…。

 

防音扉用のパーツが手に入らない

音漏れ防止のパーツを買いに行く事にしましたが、

そのようなものが売っているところは、もちろんメキシコにはありません。

職人さんとアイディアを出し合って、車パーツ屋に行く事にしました。

車パーツはゴムパッキンを沢山使ってますからね。いい塩梅のものが見つかりました♪

 

パッキンを音漏れがないようビッチリと枠側に貼って完成!

ドアを閉じてみると室内の空気感ですぐに遮音されたのが分かります。

 

Zin
やったぁ!!できたぞ!

 

しかしその数日後、恐ろしい事件が発生します…。

 

 

職人さんが来ていないある日の休日の事。

ドアを閉めた状態で、吸音スポンジを壁に貼っていました。

 

勘のいい皆さん、もうお分かりですね。

 

外に

出ようとすると…

 

開かない…

 

ドアノブが壊れた…

 

フラグ

My 父上

おい!それは200kgはある!絶対ヤバイ
ドアが開かなくなったら完全に閉じ込められるぞ!
もしくは蝶番が壊れて倒れてきたら確実に死ぬ!
作り直せ!

叫んでみるも誰もいない。音もほとんど外に漏れないからお隣さんも気づかない…。

そうだ換気用の窓!

・・・、これじゃスライムに転生するしかなくない!?

下にあるバケツと比較してもらうと分かると思いますが、バケツより小さいですからね。

防音性能を限りなく上げるため、窓の設置は1箇所のみ。

極力小さく、横90cm × 縦30cm、それも2重窓構造。

(なんて有能構造なんだ僕の防音室。。。笑)

 

しかも180cmくらいの高さの所にあって、部屋の中にはよじ登れるようなものも、まだ置いてない。

無理やりよじ登って出ようとしたら、首が引っかかって首吊り自殺が完成かも!?(ゾッ)

 

ドアノブを壊す覚悟で部屋の反対側から猛然とダッシュ!

そしてプロレスラーのような強烈なキックをドアに叩きこむ!

Zin
ダダダダダ、ウォォォォォー!!!

ビクともしません。

 

20~30発くらい

お見舞いしました。

 

本当にビクともしない。

 

Zin
ああ~、どうしよう。お父さんの心配早速的中。
職人さんが来るのは明日か明後日。
トイレ行きたくなったらどうしよう…。

あ!!!

スマホ!

スマホが部屋にありました!

大発見!!www

 

職人さんに電話をして、30分ほどで来てくれる事になりました。

やった~!!

 

あとは30分間、友達に電話掛けたりして、

トイレの事は考えないようにしますw

 

30分掛からず職人さんが到着。

恐らく自分がすすめた普通のドアノブが壊れた事への罪悪感と、

パトロン(雇い主)が部屋に閉じ込められる一大事に、

猛ダッシュで来てくれたのでしょう!

 

外からでもビクともしないので、

ドアノブ周辺のコンクリを破壊する事に決定。

ガンガン叩いて壊し、中心部に到着。

引っかかる部分をハンマーで叩いて、無事外界へ脱出成功です!!

シャバの空気はうまかった。

 

2020年春。人類史上最悪のウイルスあらわる…

やはり普通のドアノブはダメでした。

密閉率を上げるためにもやはり防音ドア用ドアノブが必須だと感じました。が…。

職人さんの身に異変が。コロナウィルスに感染!!

施工をしていた当時 2020年4月頃。その数か月前にCOVID-19が発生、メキシコに上陸します。

 

ある日の朝、いつもの職人Aさんと、お手伝いの職人Bさん、僕の3人で朝食をとっていると、

お手伝い職人Bさんがボソッと一言。

職人B
なんか味がないよね?
Zin
…。それコロナじゃーん(汗)
職人B
違うってコロナじゃないし!

言い張る職人B。

数時間後。

職人B
いや~、クラクラする。熱があるかな。
Zin
…。それコロナじゃーん!!!!(再)
職人B
いやいや、違うってコロナじゃないし!
このメキシコの暑い太陽のせいだ。

A chi, chi, a chi 燃えてるんだろうか (Auh!)
もう A chi, chi, a chi 感じたんだろうか
Oh, upside, inside out きみを泣かせても
A chi, chi, a chi それは太陽が (Come on!)
させたことだよ (Come on!)
夏の太陽が (Come on!)

【GOLDFINGER ’99(郷ひろみ)】より

 

Zin
いやいやいや!郷ひろみじゃないんだから!
検査受けてきて!
職人B
検査代なんて誰が持ってんだよ。俺はないよ。
メキシコでは検査を受けるお金もないぐらい多くの人がギリギリの生活をしているんです。

とにかく、その日はいつもいる職人Aさんも一緒に、その場で帰宅してもらいました。

 

数日後、いつもの職人Aさんから電話が。

職人A
俺コロナに感染した。しばらく行けないわ。お前も検査してくれ!

当時、第一波コロナウィルスは一番狂暴な症状でした。

知り合いのご家族が何人も亡くなっています。

電話の向こうの職人さんも声も息も絶え絶えな声でしたし、心配です。

 

同時に、僕も感染しているのではないか?一気に恐怖が広がります。

除菌スプレーを買ってきて家中を除菌。それから検査に行きます。

リアルにもうほとんど何も手が付かない状態。

近しい友人に「俺コロナで死ぬかも。今までありがと。死んだらこれして欲しい」などメールを送ったりします。

幸いな事に検査の結果は「陰性」。良かった~!!

しかしこれで、しばらくはひとりで施工を続けなくてはなりません。

 

防音ドアタイプのドアノブ作りにひとりで着手!

さて、ツーカーでやってきた職人さんがしばらく来れない。
でもここで止まるわけには行かない。

防音ドア用ドアノブは自分で作るしかない!!

売ってはいませんので、ホームセンターに行って色々なパーツを見ながらアイデアを練ります。

そして行きついた先がこれです!

水道用パイプ。

僕は発電所で働いていた頃、職種としては「配管工」でした。

パイプなら一番馴染みがあるしアイデアも出る。

 

ドアの厚みや必要な長さ、仕上がりをイメージしてアイデアが固まりました!
写真のようにパイプを組んでいきます。

 

  1. 溶接機と必要な道具を用意し、
  2. 穴の位置とドア厚と距離を測り、
  3. 必要な長さに調整した水道パイプを組み込みます。

取っ手自体がドアとは独立して回らないといけなので、一回り大きい菅も買って中に通します。

取っ手と管の間には多少のスペースがありましたので、(そういう用途では作られていないため)

毎日飲んでいるビール(!)のアルミ缶を切って緩みを調整しました。

 

元のドアノブ穴の位置からではうまく機能しなかったので、穴も内側に開け直しました。

密閉を上げるためのドアノブ受け構造。

こちら側にも厚めの鉄板を下側だけ溶接し、上には楔(くさび)を差し込みます。

ここをハンマーで叩きこんで密閉具合を調節出来る機能にしました♪

ドアノブの軸周辺にはドアを閉じた時にかなりの加重が掛かるため、少し厚めの鉄板を溶接します。

よっし完成!
確認のために、スマホから音楽を掛けて外から確認してみると、音楽が聴こえるではありませんか!

 

ひとりZin
な、なにぃぃぃ~?あ!

ドアノブの中から音が聴こえてきますwww

それもそのはず、元は水道パイプですから、パイプの中を水ならぬ音が通って筒抜けwww

気が付いて良かった~。パイプの中にコンクリぎっしり詰め込み完成!

ようやく防音ドア、施工完了です!!

 

さて、本日の内容はここまでです。

『夢のマイスタジオ、メキシコで作っちゃう編』三部作、いかがだったでしょうか?

次回はこちらマイスタジオの番外編、

「メキシコの病院事情。これぞカルチャーショック!」

をお送りしようと思います

また次回お会いしましょう。
Hasta la próxima(また次回)!!

>「心から出て心に還る音楽を」をモットーに、粋な義理人情を大事にし、 旅に似合う音楽を提供し続けていきます。

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