【アフリカの旅 Gede編】ギリアマ族の太鼓と踊り、チャプオとダバとムションド太鼓 |リズム音楽世界旅紀行~ケニア編⑥~

 

ケニアの旅はとんでもないカルチャーショックの連続です。

もう一度行きたい国ケニア。
大好きな国ケニア。

あまりにも事が多すぎた音楽修業の顛末を、

て一度じゃ書ききれないので、数回に分けてお送りします。

 

東アフリカのプリミティブな音楽に飛び込むリアル体験談。

電気,ガス,水道のない村に住みこみ、ディープ過ぎる音楽に出会う。

通常の旅行者では入り込めないDeep Deeper Deepestな音楽と生活をご紹介いたします!


 

*アフリカの言葉がたくさん出てきますので、導入部は色分けガイドと共にお読みください。

「人名」あお、 「地名」むらさき、 「民族名」オレンジ、
「音楽名」あか、 「楽器名」みずいろ、 「リズム名」赤ライン

 

皆さんこんにちは。Groove冒険家のZin “Atrevido” Hitoshiです。

ケニア編第六弾。前回の話から一カ月以上が経ってしまいましたが、いざ!

 

現在滞在中の場所はケニアのマリンディ

マリンディのある海沿いのエリアには広くミジケンダという諸民族が住み、ここケニアでの案内人・俵さんより彼らの音楽が面白いという事で、ドゥルマ族の僕の師匠Saidi(サイディ)を紹介いただき、サイディの村に滞在してSengenya(センゲーニャ)と呼ばれるNgoma(ンゴマ。音楽、ダンスの総称)を学んでいる最中です。

ほんっと知らない横文字ばかりで頭がハテナ?になりますよね。でも何とな~く分かってくれれば大丈夫ですからね。興味のある所から少しずつ。

 

前回までずっと修業してきたマリンディでの下積みが完了!
Saidi(サイディ)師匠の集めた刺客のもとに武者修業へ出る時がやってまいりました!

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旅のルート

1 【ケニア入国】旅の持ち物
2 【首都ナイロビ】ハードボイルドな日常
3 【首都ナイロビ~モンバサ(コーストエリア)】電気ガス水道がない村 | センゲーニャ
4 【マリンディ村】黒いキャンバスに浮かぶ見える音 | ンゴマ・ザ・ペポ
5 【マリンディ村】ついにラスボス登場!ンゴマ・ンネ
6 【ゲデ村〜別の村】ギリアマ族の村に太鼓武者修業!
7 ???

 

ギリアマ族の村『Gede』に武者修業!

 

滞在していたマリンディの村はドゥルマ族。Sengenya(センゲーニャ)ドゥルマ族の音楽です。

しかし今日は案内人「俵さん」がずっと住んでいたギリアマ族の村、Gade(ゲデ)を訪ねます。

これは俵さんのたってのオーダー。お世話になっている俵さんの愛する村を訪ねない訳にはいきません!

まずは村を訪ねる前に学校に立ち寄ります。

 

学校になぜ立ち寄ったのかは不明(笑)。僕の語学力がサッパリでしたからね~。
ですが現地の学校に入れるのは、なかなか貴重な体験です。

からの~、歩いてGade(ゲデ)村へ。

この分かれ道が僕の運命の分かれ道となるのか…

 

アフリカらしい青々とした空と土の道をしばらく歩くと、Gade(ゲデ)村に到着です。

のんびりとした風景。これが皆さんのイメージするアフリカなのではないでしょうか?

しかしこんなのどかな風景が一変、嵐を呼び起こす大バトル(?)の会場となる事はこの時僕は知る由もありませんでした…。

 

上記の写真、赤いキコイのご年配。この方がこの村の長老ムゼー・ランドゥー氏です。

アフリカでは年長者が敬意を持って扱われるとの事です。

 

アフリカでは長生きする事自体が至難の業。長生きするという事はそれ自体に価値があり、長く生きる知恵を備えた、いわゆる賢者なのです。

気さくに話して下さいますが、僕などとても対等に話せる感じではありません。敬礼!!

それに引き換え日本では長者は年寄り。悪ければ邪魔もの扱いですからね。

やはり『賢者の知恵』。ちゃんと年配の方はそれだけで敬うべきだと感じました。

 

 

ムゼー・ランドゥー氏の呼び掛けにより村の人々が集められます。

我が師匠Saidi(サイディ)お供のBati(バティ)君と僕も深々とご挨拶。

やはりギリアマ族、ドゥルマ族 という民族の違いがあるからでしょうか?

良い意味で、すごくかしこまった感じの、互いに敬意のある挨拶が行われました。

 

ギリアマの太鼓は原始的?大胆なアイデアとチューニングとは!

 

太鼓が集められ、準備が着々と進んでいきます。

 

ギリアマ族で使われる太鼓には違いがあります。

僕が修業していたドゥルマ族でも使用していたチャプオは使用し、ウパツダバという名前に変化します。

他はンゴマ・ンネでも使用したブンブンブの超巨大版!

そしてソロの雄ムションド!!

左上:ダバ(空き缶),右上:チャプオ,左下:ブンブンブ,右下:ムションド

 

このソロ楽器ムションドの説明は是非しておかなくてはなりません。

打面の真ん中に黒い輪っかがあると思いますが、これはゴムを溶かして貼りつけたものです。

このゴムが作用して、バズ音がなるという仕組みのようです。

バズ音とは色々な解釈がありますが、この場では「割れた音、歪んだ音」と思って下さい。

分かりやすい例えはスピーカーのボリュームをMAXにすると音が割れますよね?あれです。

僕流の解釈ですが、アフリカ人はこのバズ音が大好きなのです(笑)!!

 

アフリカの他の国の楽器になりますが、

バラフォン - ひょうたんをつけ、中にクモの巣を貼らせてバズ音を出す

ムビラ(親指ピアノ,カリンバ) - コーラ等の瓶の王冠を取り付けバズ音を出す

スピーカー - とにかく音量は割れるまで上げバズ音を出す(笑)

※楽器名をクリックすると動画リンクで音色が聞けます。

 

日本人の感覚からすれば「え~?音割れしてんの?耳触りで聴けたもんじゃないわ!いいスピーカー使おうよ!」ってな感じですが、違います。これが気持ちいいんです(笑)!!

恐らく上記各楽器のYouTubeリンク動画を見ていただいた方も、「これが気持ちいい!」と感じた方は多いのではないでしょうか?

お金がないから、良いものがないから仕方なく割れた音なのではなく、あえて!の割れた音なのです!

 

熱く語ってしまいましたが、ムションドにはゴムの輪っかを塗る事でバズ音が出せる仕組み。

それが打楽器に仕込んである訳ですから、強烈なインパクト間違いなし!ソロ楽器として生まれてきた楽器でしょう。

クラブミュージック,トランスミュージックで使用すればアゲアゲになる事間違いなしな楽器だと思います。

 

話は戻り、今度はブンブンブです。

このブンブンブ、くり抜いた木に皮を貼りつけてあるだけの仕組み。要はチューニング(音程調整)する構造は持ち合わせていません。

したがって、どうやってチューニングするかと言うと…

直接火にかけます(笑)!!

斬新なアイデア!というか本来こういうものか!と思わせる大胆さ。

西アフリカのDjembe(ジェンベ)も現地では火にかけ、演奏旅行中はストーブの前に置いてチューニングすると聞いた事があります。

しかし実際に見ると、何ともアッパレです。

この動画の冒頭に出てくる細長い楽器、これがムションドです。

 

*アフリカの言葉がたくさん出てきますので、引き続き色分けガイドと共にお読みください。

「人名」あお、 「地名」むらさき、 「民族名」オレンジ、
「音楽名」あか、 「楽器名」みずいろ、 「リズム名」赤ライン

 

さて、チューニングも完了!ついにGade(ゲデ)村での太鼓修業の始まりです!

 

村の若者「リズム『ンゴマ・ザ・ペポ』を覚えてもらう。まずはダバを演奏。タカタ タカタ…」

 

このンゴマザペポは比較的簡単。この曲はドゥルマ族流ではあるがSaidi(サイディ)の所でも習っていました。

そしてこのダバは実はこう。タカタ タカタと教えてきますが、実際のテンポは3つめの『タ』

OK!案の定3つめの『』がテンポです!チャプオムションドが入って来て演奏開始!

強烈にデカいブンブンブとブリブリのムションドが入って来て轟音の渦!もうこうなると途中で止めたくても止められない。お互いがしっかり噛みあう『「インターロッキング」』!彼らの気が済むまでの少なくとも15~20分は走りっぱなし。これが俗にいうGrooveだと僕は解釈しています。気持ちの良い音楽には、根本的には難しいテクや複雑なフレーズは、なんら必要ないのです。

リズムの柱となるダバを演奏しながら他の楽器との混ざった音にも集中。音楽にはこの総合的な音を聴く力が必要。自分の担当楽器だけ聴いているようではアンサンブルになりません。

30分程度演奏したのち、次はベースの太鼓になるブンブンブです。

 

Tawala(支配者)から鬼の指令がくだる!倒すか倒されるかの壮絶バトル?!

 

ここで首都ナイロビの俵さんから電話。ちょっと話した後、村の若者に代われと。


Tawala
お~、お前ら久しぶりだな!元気か?いいか、そこに来ている日本人、ジンをぶっ潰せ!手加減はしなくていいからな。手が壊れるまで叩かせるんだ、いいな!

 

 

こんな指令がTawala(スワヒリ語で支配者の意)氏により若者に送られる(汗)

もちろん若者の目は真剣(笑)、そして俵さんはいい人なので僕にもそれを伝える(笑)

 


Tawala
今、壊れるまで叩かせろって言っといたから~。全力でいくんだぞ~。 

 

Zin
は、はい。がんばります(汗

 

 

ではブンブンブを始める。ハンドポジションはここだ。

叩き方はこうで…。

一通り奏法と音色の種類を教えてもらい終わると、村の若者とSaidi(サイディ)がこう言います。

もっとだ。もっとだよ!ハードヒットだ!そんなんじゃ全然弱い!!


むりやりに押しつけられるハードヒット。ドラムじゃ肘から振り上げてのヒットなんてしないし、そもそもそのハードヒットを素手で?!手が痛すぎる(苦笑)!!

しかしそんな事で弱音を吐いては若者にバカにされますからね。弱音は心に隠したまま…なんてムリ!超痛い(泣)!!

 

もう弱音しか出ませんよ!って言うほどブチ込まれる僕。。。

もうダメだ・・・。

 

とまぁ見事『支配者』俵氏の策略通り心を完全に打ち砕かれた僕ですが、カッコ悪い所ばかりではあれなので、一応覚えたパターンやムションドの動画も上げておきます♪

後半にはムゼー・ランドゥー氏も入った村の人達の演奏もあります。


今回思ったのは、ここGade(ゲデ)村 ギリアマ族の音楽、今回触れさせてもらったものに関してだけ言うと、「キメ」が命の音楽を彼らは演奏していると感じました。

俵さん曰く、『キガンガ』という太鼓とダンスで村同士で競うお祭りがあるとか。

やはり他の村に勝利するためにはより複雑なキメや鮮やかなソロ、そしてダンスが大切だったんでしょうね!

 

丁寧に別れの挨拶をすませ、水ぶくれになった手を抱え、Gade(ゲデ)村 をあとにする僕らなのでした。

 

次なる刺客、ムゼー・ロバート

 

さて、翌日、今日も出掛けるぞ!とSaidi(サイディ)

今日はSaidi(サイディ)のバイクにBati(バティ)も一緒で3人乗り(こちらでは当たり前)して、別の村に向かいます。

出迎えてくれたのはおっきなバオバブの木です。

左:バオバブの木。とても大きく抱擁感を感じます。暖かく出迎えてもらえた気持ち。
右:師匠Saidiのバイクでここまでやってきました。

 

左:バオバブの木にブランコをつけて遊ぶ子供たち。奥に太鼓があるが、あまりにも自然過ぎる。
右:女の子かな?巻きスカートと素敵な笑顔が印象的です。

 

村の名前は忘れてしまいましたが、本日訪ねたのはムゼー・ロバート氏。

ムゼー・ロバート氏は元々は、昨日訪れたGade(ゲデ)村 の出身。

Gadeにいた頃はムションドの卓越したソロ奏者として君臨していたらしいのです。

彼の家族が独立し、ここに村を作ったといいます。

そんな「ムションドの達人からムションドを習う」これが今日の課題です。

 

昨日どっぷりギリアマ族の太鼓に触れたおかげで感覚は入りやすい気持ちなのと、

ムションドも一応経験済みです。

 

このムションド、ちょっと奏法が変わっています。

足の間にムションド、その前にブンブンブを一台置き、この2台を駆使してソロを叩きます。

 

ムションドは口径が小さく、そこまでではないにしろピッチ(音程)の高い楽器。そこに広口径のブンブンブを組み合わせてメロディーを構築していくというスタイルなんだと思います。

 

さて、最初はチャプオダバの違った2面からサポートし、ムゼー・ロバート氏のムションドを堪能。

 

師匠Saidiが2つの違うサポート楽器をやらせたのは多角的に耳を作るためでしょう。

この辺の判断がさすがだなと思います。

そのあと、2曲ほどのソロのパターンを教えてもらい実際に演奏。

と!思いきや!

なんとムゼー・ロバート氏は左利き?!さっきまで見てた手と反対で教えられるからチンプンカンプン(苦笑)!

でも段々と慣れていき何とかパターンは覚えていきます。

がしかし、こればっかりはどうにもなりませんが、音色とタイミングが…(苦笑)

なんとか一緒に演奏しているって感じ。やはり音が入るスペースの感覚が僕とは全然違うんですよね~、録音を聴くと如実に分かります。いや~、仕方ないとはいえ凹みます。。

それだけアフリカという存在は懐深く、そして届きがたい存在なのでしょうね!

 

今日のお話はここまです。

次回はまた別の村を訪ねます。ついにアフリカ~!!と実感する感動の旅が目の前に広がります!

Hasta la próxima(また次回)!!

 

ライター Zin ” Atrevido” Hitoshi

 

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>「心から出て心に還る音楽を」をモットーに、粋な義理人情を大事にし、 旅に似合う音楽を提供し続けていきます。

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