【ケニアのミリティーニ村での音楽修業】| カヤンバ・ザ・ペポの秘儀式に挑戦! | リズム音楽世界旅紀行~ケニア編⑩~

皆さん、こんにちは。Groove冒険家のZin “Atrevido” Hitoshiです。

前回の記事を書いてから半年以上経っているような…。

というのも今回のミリティーニ村での出来事は あまりにも濃すぎる体験。

内容をまとめるにも及び腰で、気がつけば2020年になっていた的な(苦笑)

逆に言うと、今回のために今まで書いてきたようなもの!


*アフリカの言葉がたくさん出てきますので、この先は色分けガイドと共にお読みください。

「人名」あお、 「地名」むらさき、 「民族名」オレンジ、
「音楽名」あか、 「楽器名」みずいろ、 「リズム名」赤ライン

東アフリカのプリミティブな音楽に飛び込むリアル体験談。

ケニア海沿いのエリアには広くミジケンダという諸民族が住んでいます。
「9つの町」の意味を持つミジゲンダ(Mijikenda)。9つの民族の総称です。

ケニアでの案内人、俵さんよりドゥルマ族の師匠 Saidi(サイディ)を紹介いただき、現在 Saidi(サイディ)と、日本語がカタコト話せる右腕の Bati(バティ)くん、僕の3人で音楽修業の旅へ出ている最中です。

文字通りの”旅”。音楽という媒体を通しているからこそ入って行けるディープゾーンと体験の数々。

 

さて、前回のお話「センゲーニャ発祥の村での演奏へ!では、修業してきた音楽『センゲーニャ』発祥の村で現地の人達に僕の演奏をお披露目するというとても貴重な体験をしました。

実は僕は英語がほとんどダメでそんな大事な演奏をしていたとは知らず(笑)

あとで俵さんから聞いた話で師匠Saidi(サイディ)はご満悦だったとの事。良かった良かった。

そのままその足で夕方にはバスで移動。ここが今回の旅の最終目的地ケニアのミリティーニ村です。

今回ケニア編第十弾。
10話に収まりきる自信が無かったほどに濃い旅の最終章をお楽しみ下さい!

 

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旅のルート

1 【ケニア入国】旅の持ち物
2 【首都ナイロビ】ハードボイルドな日常
3 【首都ナイロビ~モンバサ(コーストエリア)】電気ガス水道がない村 | センゲーニャ
4 【マリンディ村】黒いキャンバスに浮かぶ見える音 | ンゴマ・ザ・ペポ
5 【マリンディ村】ついにラスボス登場!ンゴマ・ンネ
6 【ゲデ村〜別の村】ギリアマ族の村に太鼓武者修業!
7 【ツンザ村】河を渡る秘境への大冒険
8 【ムブグーニ村】驚愕のマリンバ
9 センゲーニャ発祥の村
10 【ミリティーニ村】驚異の体験!やる側のはずがシャーマンにやられた黒魔術?! | カヤンバ・ザ・ペポ

 

ついに最後の目的地、ミリティーニ村へ

*アフリカの言葉がたくさん出てきますので、引き続き色分けガイドと共にお読みください。

「人名」あお、 「地名」むらさき、 「民族名」オレンジ、
「音楽名」あか、 「楽器名」みずいろ、 「リズム名」赤ライン

 

村に着いてみると、旅のお供である Bati(バティ)くんが子供たちと仲良く話しています。

実はこの村ミリティーニは、Bati(バティ)くんが普段住む村だったようです。

息子さん達と奥さんを紹介され、和やかな空気が流れます。

その日は夕食と明日からの予定の確認。

どうやらこの村では太鼓ではなくツンザ村でも演奏した楽器、カヤンバがメインのようです。

カヤンバ
乾燥させた竹の茎を編んで(並べて?)、中には恐らく小石が仕込んであります。
カヤンバ本体の上には固い竹がアーチ状に取り付いており、左右に振る際その竹を親指でHit。
パチッという音が鳴ります。


ここでBatiくんのカヤンバの演奏を動画でお楽しみください♪

見ているととても簡単そうですけどね。これが僕なんかがやるとまるでロボットです(苦笑)

夕食をいただき、この日は終了。平和な夜が過ぎていきます。

 

一体どうしてこうなった?!勢いあまって被験者に抜擢!


ゆるりとした朝がやってきました。

Batiくんのお子様たちに癒され、Saidi(サイディ)師匠の緩みきった感じに癒され(笑)
いい感じの朝です♪

 

朝食も済み、今日の内容がSaidi(サイディ)師匠から発表!

 

Saidi師匠

この村ではカヤンバ・ザ・ペポ(カヤンバの精霊を呼ぶ音楽)をやる。

カヤンバ・ザ・ペポHeal(治癒)の力があるんだ。悪い病気とかそういうのを追い払ってくれる。またそういう儀式の時に演奏する。

Zinも体の悪い所があるなら治るんだぞ?

という事で、ナルホド~。それは面白いな!と。

 

僕はお腹が弱いタイプ。ヒジやヒザ・くるぶしなど関節部が冷えるとお腹を下すんです。

これが普通なんだと思ってたんですけど、人に話すとどうやらそんな事ないらしい?!

Zin
事情はこんな感じなので、もし治るならやって欲しいです~

と話すと、Saidi(サイディ)女性のシャーマンを連れてきました!

 

シャーマン
ああ、それは~~~という精霊の仕業だね(精霊の名前を忘れてしまいました…)。この聖霊は風の精霊。彼(?)が風と共に関節部を通るとそういう症状を引き起こすんだわさ。

なるほど~。確かに冷えるという事は風が通るという事ですね。というか、こういうプリミティヴな事は疑ったり理論的な考えに当てはめてはいけませんね!

現代科学が進んだ今、科学で立証できない事は信じられないと思われがち。でもそういった先入観が自然と共に古来から伝わってきたパワーを失わせると僕は思います。

トトロで言う「まっくろくろすけ」とか。よく小さい頃には何かがいるのが見えていたのに物心ついたら見えなくなったと言う話しも聞きますからね。僕自身はそういう記憶や経験は全くないのですが、信じています。

 

と、いう事で!!

ワタクシ、Zinが今日の患者(被験者(汗?))です!!

自分でも爆笑してしまうほどの怯えた表情(笑)

小さな土作りの部屋の中にシャーマン、それから太鼓カヤンバを叩き精霊を呼ぶ人達。後ろの赤い服の女性達は…踊り子なのでしょうか?!

 

謎と葛藤の儀式がスタート

癒し系サウンドのカヤンバを使うだけあって、始まりは静かに厳かです。

僕は患者役ということで「なるべく大人しくしていよう。」そう思っていました。

しかし周りの皆はめっちゃ楽しそうです。しかし僕は患者なので…。

この葛藤が最後まで続きます。

 

体に飾りを付けられ、頭に布を被せられ、儀式は進んでいきます。

カヤンバのサラサラ音が部屋を満たし、その上を男性の歌声をメインに、そして呼応するように女性達のコーラスが入ります。

女性達の声がとても高いので、男性の「低」と女性の「高」のハーモニーが儀式をその世界へといざなっていきます。

時折女性が発する「クルルルルルルル~」という鳥の鳴き声のような声が、ちょっとした鳥肌と共に耳をつんざきます。

 

そしてカヤンバが真ん中の竹を弾きながらリズムを刻み始めます。

Zin
始まった(心の声)

そう感じた瞬間でした。

 

女性たちはケニアでよく見かけられる肩を揺らしたダンスをし始め、

歌はリズミカルに、大きくなっていきます。

 

その中で静かに空気を感じる僕。

女性が「聖水」を顔に掛けてきました。

この聖水ですが、恐らく色々なハーブ(薬草)が入った水だと思います。

俗に黒魔術、プリミティヴな儀式というのは眉つばと思われがちですが、実際にはハーブを使ったオーガニックな治療を有していると感じました。

※右の写真が聖水の壺

 

聖水を口に含む。

厳かな気分に浸ろう、患者だし、と考えている僕とは裏腹に、周りの人達はヒートアップしていきます。

一緒に楽しんでいいか、じっとしてた方がいいのか?色々な葛藤が頭を巡ります。

Zin
無心になろう(心の声)

無心になり、まるで死んだ魚の目のようになる(笑)

時折目をつぶる。

 

僕の周りを円になって踊り回る女性達。

いつの間にか小屋の外には沢山のギャラリー(村人達)が。

 

今思えばムダな事を考えずありのままを受け取って一緒に楽しめば良かったんだと思います。

ビデオを見ても自分だけテンションが全く違いますからね。

しかし現状把握ができておらず、その考えには至りませんでした。

 

女性の一人が僕の手を取り、立たせます。

Zin
何か?(心の声)

ついに踊らされました(笑)

しかも彼女らの踊りは肩ゆすりダンス!必死にマネしようとするも

まるで壊れたロボットです(笑)

そして目は葛藤ゆえ、死んだ魚のまま(笑)

なぜだ?なぜ踊らされるのだ?俺は患者だ。患者が踊るなんて聞いた事も見た事もない。

謎と葛藤は深まるばかり。。。

 

そして戦慄の儀式へと

皆で踊ったかと思えばまた座り、ゆったりとした歌が流れ、また盛り上がって踊る。
その繰り返しがかれこれ1時間半は過ぎた頃、ついにその時はやってきました。

シャーマンが小さな壺を持って近づいてきました。

僕の体の周りに当てています。どうやら何かをいぶした煙のようです。

本格的に儀式が始まろうとしているのでしょうか?

 

次に、さっきまで一緒に踊っていた女性達が布を持って近づいてきます。

なんだ、なにが起きるんだ?!不安は絶好調に。

 

そして・・・

 

こうなり~の


こうなる!

 

なぜだ?なぜ分かったのだ?確かにおでこが広いのは気にしている(笑)

しかしこれは風の精霊を追い出す儀式だったはずじゃ…!?

とまぁ冗談はさておき、頭から聖水を掛け体全体に行きわたらせるんですかね?

でもまぁ儀式ですから。色々勝手に解釈するのもおこがましいですね。成り行きにまかせましょう。

 

飛ぶ!!トランスを目の当たりに

皆で踊ったかと思えばまた座り、ゆったりとした歌が流れ、また盛り上がって踊る。

その繰り返しがこれまた3時間は過ぎた頃・・・

ついにその時がやってきました。

 

隣りに座ってた女性に、シャーマンにより聖水がかけられると…

 

踊り子
ぶるrぶrぶrぶr!!!(動き)

飛びました?!?!?!

おっと失礼、

トランスしました!!

 

真隣りに座る僕は内心ビックリしつつも、平常心を保ちます。

もはや何が普通で普通でないのかも分からなくなっています。ここで何時間も葛藤を続けている僕の方が普通ではない気がしてきました。

そして次々と…

 

もう激し過ぎてブレブレですね(笑)

よく観察していると、トランスに入るキッカケを作っているのは友人Bati(バティ)くんが叩く太鼓だと感じてきました。

ほとんどがカヤンバで、Bati(バティ)くんだけが両面太鼓チャプオ(以下太鼓)。それもありますし、とにかくBati(バティ)くんの叩く太鼓ソロが踊り子の心に火をつけます。これぞ太鼓と踊りの呼応!

 

ここケニアでは音楽の総称をンゴマと呼びます。なぜ総称と書いたかと言うと、「ンゴマ」という言葉は

音楽,ダンスを含むそれらすべてを指しているそうです。

音楽だけ、ダンスだけ切り取っては考えない。そうであって当たり前なんでしょうね!

 

トランス状態の彼女達に皆が「Pole Pole(ポレポレ)(落ち着いて落ち着いて)!」と声を掛けます。

やはりトランスしっぱなしは危険なんでしょうか?というかそもそも

トランスという表現が間違っているのかも知れません。

現実に聖霊が彼らに降りて来てるんだと思います。

 

「歌って踊って、楽しんで喜んで出て行ってもらう」超ポジティヴな黒魔術


儀式の舞台は外に移ります。

何時間も経ったのに外は全然まだまだ明るい。

沢山のギャラリーが集まってきます。

 

しかし僕の心は限界が来ていました。体力的にというより、やはり自分の中の葛藤が約4時間経っても払拭できていません(汗)

ちょっと落ち着いたところで師匠Saidi(サイディ)に伝えます。

Zin
もういいかな。。。

本日のンゴマは終了です!

ホントは自分が患者役なのは終わりにして、太鼓カヤンバがやりたかったのですが、僕の語学力の足りなさでは説明することができず…。

以前ここを訪れた日本人の友人は、次の日の朝まで踊り尽くしたと言っていましたから、止めると言わなかったら一体どうなっていた事か(汗)
その友人のように煩悩を捨てて楽しみ尽くせば良かったんでしょうけどね!結局僕は冒険としかいいようがないほどの旅をしながらも頭で考えてしまうタイプなんだと思います。

 

 

Saidi師匠

何か質問はないか?

と聞かれたのでズバリ聞きました。

Zin
なぜ患者が踊るの?全然意味が分かりません!


回答はこうでした。

Saidi師匠

カヤンバ・ザ・ペポの儀式は聖霊に出て行ってもらうのだが、単に追い出すわけではない。

聖霊を呼んで、一緒に歌って踊って、聖霊自身にも楽しんでもらって満足してもらう。

そして喜んで体から出て行ってもらうんだ。


ナルホド!!

しかしそれを最初から伝えてもらいたかった(苦笑)初めから知っていれば何の葛藤もなく楽しめたかも知れないなと。それもこれも僕の語学力の問題でしょうけどね。

まぁ自分ごとながら素直に恐怖する人間の反応が見られて良かったです(笑)

 

コーストエリアでの冒険の旅が終わる


この日を最終日としてSaidi(サイディ)、お供のBati(バティ)くんとの旅が終わりました。

Bati(バティ)くんはそのままこの村の自宅へ。僕とSaidi(サイディ)師匠は翌日共に一番近い都市モンバサまで移動し、ここケニアでの案内役、俵さんの待つ首都ナイロビまでの高速バスのチケットを買います。

 

ナイロビまで8時間。さすがに疲れたので広い座席を買いたかったのですが、Saidi(サイディ)ったら「高い高い!普通の席を取れ!」と(笑)

全然払うわ!と思ったのですが何故か言えず。そのままエコノミーシートに乗って、ついにお別れです。

Zin
Saidi、本当にありがとう。僕の音楽の旅の中で間違いなくナンバーワンの旅だったよ。Asante(アサンテ。ありがとうの意)!!


えも言えぬ気持ちで高速バスの窓越しをSaidi(サイディ)が流れていきます。

すぐに見えなくなり、赤土の上を一路ナイロビへ。。。

 

Hasta la próxima(また次回)!!

 

□ライター Zin ” Atrevido” Hitoshi

_φ(・_・ トランス状態には一応科学的(というか心理学的に)根拠があって、トランス状態を生み出すには「共通認識のトリガー」が必要です。この場合は太鼓が村の共通認識になっているのでしょうか。

 

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>「心から出て心に還る音楽を」をモットーに、粋な義理人情を大事にし、 旅に似合う音楽を提供し続けていきます。

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