2014年、20代さいごの時に、私はstudio iota labelという小さな音楽ブランド会社を立ち上げました。
もちろん立ち上げたと言っても、そんなに大掛かりなものではなく、自分たちのやっているバンドの音源を制作して、大手CDショップチェーンに流通しようと動いただけのことです。
そのときのバンドの名前が「流れるイオタ」だったため、気軽につけた名前が『スタジオ イオタ レーベル』でした。
現役”野良ミュージシャン”の集まり。音楽シーンへのコネクションも、レーベルのノウハウも、ほとんどない状況の中でスタートしましたが、現在では9つの事業(一部改築中)を運営するまで発展してきました。
東京都品川区うまれ。作曲家、ドラマー、RECエンジニア。
3歳より「心から出て心に還る音楽を」という教えのもと、裸足で畑を耕すところから培う教室でクラシックピアノを習う。また、キャンプ生活などを通して美術をする教室にも通うなど、自然とのふれあいの中で学び、育つ。国立音大附属中学ピアノ科を経て、国立音大附属高校で学内オーケストラに参加。
国立音楽大学作曲科へ入学、中学から始めたドラムに没頭する。バンド活動でデビューを経て国外や離島での演奏にモデルチェンジ。ロンドン、ベルリン、ニューヨークで演奏を積む。
25リットルのリュックとドラムスティックで世界一周後、旅と音楽と食を繋ぐレーベル「studio iota label」を設立。音楽療法など9つの事業を展開中。牛乳とじゃがりこが好き。
■関連記事
【オーロラ】北極圏の都市アルタ。イオタの由来と音楽療法と。
〜クラシックやジャズも含めてインストゥルメンタル(歌のない音楽)を聴く層は、圧倒的に少ない。
と、それまで感じていました。〜
noteの創成期から参加
さて、なにしろ自分たちはまだまだ駆け出しで、歌のない音楽(=インストゥルメンタル)のバンドなので、簡単にリリースをしてくれる店舗はありませんでした。
雨の日に、30kgのフィジカル〔CD・DVD〕の在庫を持って営業に行っても、「この音源は誰が演奏しているの?才能はある!……でも入荷は10枚だけなら。歌のないバンドは売れないから。」とまで言われていたのです。
レーベルとは名ばかりで、売れずにショックを受けたのを覚えています。
そこで考えたのが、付加価値をつけることでした。
◼️過去記事
食えない音楽家。五枚の源泉徴収票の先の、体当たりの自由まで。
〜上を見ればキリがない。誰かみたいになろうとしても、全然なれない。どうしたものかなぁ・・・。転機は、ベルリン旅行でやってきた。〜
レーベル運営について、最初に付けた「好きを特技に」
2014年4月にリリースされたばかりの「note」のサービス。
文章や画像、音声ファイルの記事(ノート)を簡単につくり、 つくった作品を有料にもできる提案をしてくださっていたので「それなら実験的に始めてみよう」と思いました。
私は小さい頃から「音楽と共に冒険する人」になる夢があり、人生のつらい経験、挫折をした20代前半を経て、単身でスペイン横断の旅に出たポジティブな話を、ポツポツと紙面連載していました。
ただ、編集者の先には誰に届いているのかあまり分からず、モチベーションの維持が難しいのが現状。
お約束の原稿料が支払われたこともありませんでした、それなら・・・。
noteを利用すれば、自分たちのようなコアな音楽好きの人だけではなく、さまざまなジャンルのクリエイターに出会うことができる + SNS的な反応を分かち合いながら作品やノウハウを自由に公開できることに気づきました。
つまり「音楽だけを売りにしているレーベル」として業界に新規参入するのではなく、旅のお話しを書くことで、『旅に似合うような音楽』を提供するチームというフックを作ったのです。
◼️過去記事
【サンティアゴ巡礼の旅】巡礼者が出会い、つながってゆく。合言葉は“ブエン・カミーノ”
〜サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路には世界中から人が集まってきます。「ブエン・カミーノ!(良い巡礼を!)」この道を行く人々の間での合言葉です。〜
日本のコンテンツを動かすのは、好きを力に変えるオタクと確信
実際に蓋を開けてみると、記事というフックはかなりの反響があり、大きな効果をもたらしました。
悩みのひとつとして抱えていた「どうやったら、歌のない音楽の出荷数が伸びるのか」は、他のコンテンツを充実させて数字を示すことで解決し、アーティストにはそのぶんの印税が発生します。
同じく新規参入のアグリゲーター(音楽配給会社)と出会い、デジタルリリースの契約にも繋がりました。
もちろん前提としては、素晴らしい楽曲があってこそだと思いますが、顧客を増やさなければ、自分たちの商品は広がっていきませんし、売り上げも上がっていきません(涙)
自分の得意なことや知ってる範囲で行動していると広がっていかない。
という通説に、真っ向から飛び込んだ㋔㋟㋗。
「よかったこと」は、たとえ知識や文章力が乏しくてもその想いが伝わり、共感してもらえる経験。何かを立ち上げたいと思っている人には、今は家の中からでもチャンスがたくさんある時代だと思いました!
◼️過去記事
「鍵盤ハーモニカ」という、楽器のおはなし。ピアニカとはどう違うの?各機種の特徴・音比べ。おすすめ機種!
〜「ピアニカ」とは、楽器としての名前ではなく、実はヤマハの商品の名前だって知っていましたか?ですから、メーカーによって”同じ楽器”でも、呼び方が異なっています。どういうことかというと?〜
何をするにしても、イオタ、イオタとアピールしていれば、確実に広まっていくのではないかと考えて事業を進めてきました。
音楽療法 イオタムジカ
iota DELI & CAFE
デザイン & 印刷 IO Dezajno
しっかりコラボすることで広がっていく
noteを通して、面白い発見があることがわかるようになりました。人気コンテンツは、自身の「突っ込みまくってる部分」を切り取っていくのが上手。
共感できたり救われたりする人が、たくさんいるんじゃないでしょうか。
それほど音楽に興味のないクリエイターさんとの交流もできて、「実際のライブや展示に足を運び合う」、「海外在住の方から遊びに来てくださいと声をかけていただく」など、素敵な仲間ができたことが嬉しいです。
それに、サイトの中ではメジャーもインディーズも関係ないうというnoteの特性も魅力的です!
大きな会社と同じフィールドでやっていくには、1人の人間としての熱い想いや、「根負けするまで続ける!」という強い信念(?)を持って運営してきたので、なんとかnoteとともに6年間は進んで来られました。
ある程度の記事数が貯まったところで、自社のブログBlogger(過去)→Wordpress(現在)に一気に記事を移植。
10記事 2000文字ほどの内容があれば、Googleアドセンスにエントリーすることができます。
現在、記事作成に15人のライターさんが参加してくださっていますが、なるべく経験者を入れずに進んでいます。
大好きを力に変える「オタク力(りょく)」 をエネルギー源に、新鮮な発想や初期衝動の熱量を大切にしています。
お金がないなりの宣伝方法
例えば「車中泊」というコンテンツ。
ニーズはそこまで多くはありません。しかし供給量が圧倒的に不足気味。
現在、Google検索でSEO「1位」をいくつか獲得させていただいています!
旅行記事を好きで書いているだけですから、宣伝費はもちろんゼロ。blogのようにレイアウトを組む必要もありません。
マジヤバイ!
実績を残すことで、SEOライターとして企業から直接仕事を受ければ、外部委託と組み合わせて安定した収入源を一つ得ることができるでしょう。
ひとつのことをやり遂げた達成感が、運をつけてくれるのかもしれません。
ニッチな記事を取り上げてもらえるから続けられる
ライティング業界未経験者の集まりで、6年間も続けられた理由が、もうひとつ。
「note編集部のおすすめ記事」機能です。
ここからモチベーションの高まりに繋がったことが何度あったでしょうか。
自信がなかったとしても、もがきながらも一歩ずつ進んでいくことが、今の自分を生きることに繋がるんだなと、すごく励みになりました・・・!
肩書きのある人でなくても、とても重要なことです。
音楽関係者だけでなく、駆け出しの旅ライターさんの育成場所として使っていただけるようになりました。
noteで「みんなのオタク力」を取り出してみたら、最高の人生だった
作り手は単純に”物を売る”だけでなく、自分たちの想いや生き方などをリスナーさんに発信していけることで、今までに体験したことのないような音楽の楽しみ方を提案、意見交換できる気がしています。
いろいろな人に、いろいろな聴き方をしてもらえれば、音楽はより一層広がっていけるでしょう。
そういった楽しみながらの努力が、販売に結びついていくのではないでしょうか。
作曲家、ドラマー、鍵盤プレイヤー、RECエンジニア
1984年 東京都品川区うまれ。
国立音楽大学在学中にデビュー。ロンドン、ベルリン、ニューヨークで演奏を積む。25リットルのリュックとドラムスティックで世界一周後、旅と音楽と食を繋ぐレーベル「studio iota label」を設立。
音楽療法など9つの事業を展開中。
牛乳とじゃがりこが好き。
[X(Twitter)]https://twitter.com/nagareruiota
■インタビュー『灯台もと暮らし』
【かぐや姫の胸の内】遠回りが正解になる人生だってある。歌のない音楽「インストゥルメンタル」の魅力をもっと広げたい|studio iota label代表・前田 紗希
パニック障害からの克服テキスト。noteは有料販売もできる!
【studio iota label】
【LoFi Hiphop BGM】流れるイオタ『黄昏を駆け抜ける』 (Official Album Video) – Driving through the twilight
日本のレコード会社 studio iota LLC.では音源の企画制作・流通販売、WEBコンテンツの発信、企業のWebライティング、動画BGM製作、アーティストやお店などの写真撮影、作曲・編曲事業、レコーディング・ミックス事業などを行っています。
【ウェブサイト】http://studio-iota.com/
【X(Twitter)】https://twitter.com/nagareruiota
【note】https://note.mu/nagareruiota