【世界3大ピアノ聴き比べ&弾き比べ】ベーゼンドルファー・スタインウェイ・ベヒシュタイン | 世界の風土におけるピアノの歴史と日本のこれから。

ピアノが誕生して約300年余り。イタリアの楽器製作家によって原型が発明されたピアノは、改良に改良を重ねて現在に至った楽器です。

「現在の」というくらいですから、ピアノにはご先祖さまである、さらに古い鍵盤楽器が存在します。

改良の歴史の中で、作曲家とピアノメーカーを切り離すことはできません。作曲家はそれぞれの時代のピアノに接して創造力を発揮してきました。

 

たとえば・・・

音楽室に肖像画のある有名なバッハがいた時代に現在のピアノはありませんでした。

モーツァルトの作曲したピアノ曲は、現在の音域よりも狭い楽器のために書かれています。

ベートーヴェンの時代ごろ、ピアノは大きく改良され現在の形に近づきます。最末期のピアノ曲は「未来でピアノの音域がもっと広がることを想定して作曲した。」なんてエピソードがあるといいます。

 

音域」という言葉がたくさん出てきましたが、音域とは出せる音の高低の範囲のこと。

つまり昔は、鍵盤の数が少なかったんですね。

現代の標準的なピアノは88の鍵盤を備えていますが、これが登場するのは19世紀後半に現代のモダンピアノへ発展してからの事です。

音域の拡大にともなって高度な演奏技術が盛り込まれるようになり、ピアノ1台でまるでオーケストラのような多彩な表現ができるようになります。

 

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世界3大ピアノ・ブランドの特徴

ピアノメーカーは、皆さんが想像されている以上に数多く存在し、その中で世界3大ピアノと呼ばれるブランドがあります。 「選び抜かれた最適な素材と、製作者の崇高な理念や世界観を持ち、そして数々の優れた技術やクラフトマンシップの結晶として、名だたる音楽家らにより絶大の信頼と評価を得てきた最高峰のピアノブランド」のことを指すのが一般的です。

 

世界3大ピアノは、以下のとおりです。

  • スタインウェイ&サンズ(アメリカ/ドイツ)
  • ベーゼンドルファー(オーストリア)
  • ベヒシュタイン(ドイツ)


それでは、まずは特徴をご紹介していきます。

 

ベーゼンドルファー

 ベーゼンドルファーは1828年にイグナーツ・ベーゼンドルファーにより創業された、音楽の都、オーストリアのピアノメーカーです。190年の歴史をもつ、世界最古級のメーカーでもあります。

ヨーロッパの古典的な製造流派の代名詞。乾燥した風土で響きが豊かな建物が多いヨーロッパにおいて「室内で」「少〜中人数」を想定して設計されています。

オーケストラを思わせる響き「ウィンナー・トーン」が特徴で、打鍵した後の持続音が長く、また柔らかく多彩、暖かい音色が魅力です。また、ピアノ全体が共鳴するため、柔らかく美しい響きになります。

コンサート用のグランドピアノ(モデル290 インペリアル)として、97鍵という8オクターブを備えたインペリアル・グランドがあることでも有名です。

生産台数は極めて少なく、一貫した熟練の技術者の手工業にこだわりつづけ、調律や整音と最終調整も含めて完成までに莫大な時間をかけて製造されており、「ピアノのロールスロイス」といわれています。

 

スタインウェイ

 スタインウェイは1853年に、ドイツで家具製作を営んでいたハインリッヒ・エンゲルハルト・スタインウェイ(のちにヘンリー・スタインウェイと英語名に改名)によって創業された、アメリカの世界最大級の総合楽器メーカーです。

スタインウェイは、ほぼ現代のモダンピアノの製造の方向性を決定付けたメーカーで、「世界最高峰のピアノを作る」という理念のもと頂点に君臨し続ける、ピアノの代名詞です。世界中のコンサートの約90%以上でスタインウェイが選ばれています。

ベーゼンドルファーなど、それまでのヨーロッパの古典的な製造流派のピアノは、貴族・富裕層のサロンでの演奏が想定されていました。多くて1,000人規模であり、音響的に残響豊かな宮廷で使用する前提もあったため、そこまでの音量は必要なかったのです。

これに対しスタインウェイは、産業革命によりエンターテインメントが盛んになったアメリカで「PAがない時代の野外スタジアムで、5千人~1万人に生音が届くように。数千人規模のコンサートホールで100人規模におよぶオーケストラと対等音量の楽器を。」という無理難題を突きつけられたことを原動力に、最新の音響学や発展著しいアメリカの工業力を駆使して開発・改良されました。

結果は大センセーショナル。突然変異のモダンピアノの誕生は、ヨーロッパのピアノの流れも一気に変えることになったのです。

 

ベヒシュタイン

 ベヒシュタインは1853年にカール・ベヒシュタインにより創業された、ドイツのピアノメーカーです。

ヨーロッパの古典的な製造流派のコンセプトを保ちつつ、現代の要求に応じて、モダンピアノの堅牢な構造を柔軟に取り入れていることが特徴です。

繊細なピアニッシモから、迫力のあるフォルテまで輪郭のはっきりした音に、美しくみずみずしい音の透明感が加わることで生まれる素晴らしい響きは「ベヒシュタイン・トーン」と呼ばれ、旋律や対旋律、伴奏、ベースなどの各パートをはっきりと分離させて演奏できます。

ベヒシュタインのピアノは草創期から「ピアニストにとってのストラディバリウスに値する」ともいわれます。

音の透明感や響きの強さは、フランツ・リストやクロード・ドビュッシー、スクリャービンなどに絶賛されてきました。

 

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・古典ピアノの王者ベーゼンドルファー
・モダンピアノの王者スタインウェイ
・古典ピアノとモダンピアノが融合したベヒシュタイン

 

ピアノの音の聴き比べ

次に3台のピアノの音の聴き比べ&弾き比べを、実際に体験した感想を記します。

お酒でいうテイスティングみたいなものでしょうか^^

ベーゼンドルファー

柔らかく、まろやかな音。余韻が長い。

ベーゼンドルファーは、どっしりと分厚く下面側の格子が特徴的な見た目の楽器です。
音楽的基礎のない素人の印象を伺うと、ベーゼンドルファーの音は柔らかく楽器を中心に音が均等に広がる、いわば、母親が子供の頃歌ってくれた子守唄のようにも感じるそう。なんとなく懐かしく思います。

 

スタインウェイ

抜けが良く、ふくよかな音。華やかでバランスが良い◎

一方、スタインウェイは大きな升に側板をつけた形であり、ベヒシュタインは、大きな升のなかの低音側鍵盤の下を中心に放射状に木が張られています。
この二つは、プロのための音であり、ベーゼンドルファーと比較して、メリハリがしっかりしており(音圧がある)、楽器から出た音が均等に放射されるというよりは半円状に、つまりステージから客席へ出しているイメージを受けました。
当然、より映える音で、コンサートやコンクールに使用されるというのは納得がいきます。

 

ベヒシュタイン

硬質で、透き通るような音。タッチがはっきりしている。

個人的にはベヒシュタインの方が目立つ音で、ソロやコンクールにと相性がいいのかもしれないと感じました。いっぽうで目立ちすぎる音というイメージで、ソロで弾くのを聞かせるにはいいが、ほかの楽器と一緒にオーケストラの中で弾くには合わないのではないかとも?感じました。

スタンウェイはソロで惹きつける音も出しながら、オーケストラの中でも調和した音になるのではないかと思いました。

 

おまけ 弾き比べ

裏メインイベント、3大ピアノ弾き比べ。希望者の中から抽選でしたが見事当選しました(笑)「演奏は1分半まで」とのこと。ウワーッと壇上に上がって微笑ましい雰囲気でスケールとか自作曲とか奏でながら、自由に音の違いを楽しめるのかと思いきや、シーンとした中コンクールさながらにクラシックを1名弾いては拍手、の繰り返し。技術はあって当たり前の前提でなにをするかの拮抗は、どう考えても1分半なんてライトさではない気がするくらいビビったし、公開処刑のような雰囲気。恐ろしい・・・!!されど面白い。

 

プログラム @杉並公会堂

同一曲の聴き比べ、各ピアノを生かした名曲演奏。希望者による試弾。

ピアノ演奏と解説:ピアニスト 松原聡

 

日本に”良いピアノ”がやってきた時代と、これから。

日本には不当な扱いを受けている楽器がたくさんあるといいます。

100年以上前の「名器」と呼ばれる楽器が、メーカーが存続していないことによって、価値がわからないまま、その多くが廃棄同然の扱いを受けているのが現状です。

第一次世界大戦後、ドイツの物価が1兆倍と言われるハイパーインフレの状態となり、この時期を商機と見た様々な商社が輸入ピアノの販売に乗り出し、それによって、ベヒシュタインを始めとした名器と言われるような「良い楽器」が日本に続々と入ってきました。

日本は高齢化社会になって、空き家が多くなっている現状です。ピアノが置いてがあれど後継者がいないまま価値も分からず、廃棄になってしまいます。

しかも近年は新品のピアノの値段が上がってしまって、とても音楽家が買える値段ではありません。

そんな中で、昔の良いピアノを蘇らることができたら。日本という資源にも国土にも限りある国の中で、ピアノ文化の、次の発展になっていくのではないでしょうか。

ワクワクしませんか?

 

コラム インタビュー:ピアニスト・ピアノ研究家 松原聡

1977年、神奈川県出身。3歳よりピアノを学ぶ。13歳でウィーン市立音楽院ピアノ科入学試験に当時最年少で合格。16歳の時、東京にて初リサイタルを開催。その後、チェコ・プラハ音楽院へ留学。2003年神奈川県民ホールで1927年製エラールピアノのコンサートでデビュー。
近年は紀尾井ホールでのリサイタルを始め、ヨーロッパ演奏旅行では、チェコのフラデッツ・クラーロヴェーのペトロフ本社内博物館ホール、ポーランド・ポズナンのポーランド劇場、イタリア・ミラノのトスカニーニ・ホールのリサイタルにて大成功を収める。また、ピアノ研究家として欧米のヴィンテージ・ピアノ、及び歴史的録音の研究や収集、自動ピアノのCD復刻の監修や執筆等の活動も行っている。2020年2月24日NHK総合テレビで放映されたファミリーヒストリー「フジコ・ヘミング~母の執念 魂のピアニスト誕生~」にインタビュー出演した。現在、東京と群馬を中心に各地で多彩な音楽活動を展開している。

 

 ライター 前田 紗希

作曲家、ドラマー、RECエンジニア
国立音大⇨世界一周⇨NY
『studio iota label』旅×音楽の8事業の社長・編集長
音楽療法/写真/SEOライター/カフェ

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【studio iota label】
日本のレコード会社 studio iota LLC.では音源の企画制作・流通販売、WEBコンテンツの発信、企業のWebライティング、動画BGM製作、アーティストやお店などの写真撮影、作曲・編曲事業、レコーディング・ミックス事業などを行っています。

 

流れるイオタ 1st Album “The world is beautiful” Trailer [旅に似合う音楽]

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>「心から出て心に還る音楽を」をモットーに、粋な義理人情を大事にし、 旅に似合う音楽を提供し続けていきます。

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