真夏の夕暮れ。125丁目駅。
ニューヨークの旅は、いろいろなものを見すぎて、好きが溢れて参った。
現地のミュージシャンがツアーに出ているあいだに、ピアノのある部屋を一ヶ月ほど間借りしていたおかげで、音楽にまつわる「旅のハイライト」が、いくつかある。
この街のパワーはポジティブで、心に決めた事は、すごいスピードで廻ってくるそうだ。
最高💛
好き好き大好き・・・
『アポロシアター』は、ポピュラー音楽の奇跡の地。
もしかしたら名前くらいは知っている方もいらっしゃるのではないだろうか?
市街地からは少し離れたマンハッタン島の上の方、「ハーレム」と呼ばれる地区の真っ只中に位置する音楽クラブだ。
駅を降りると、空気はガラリと変わり、外に待機しているパトカーがちらほらと見え始めた。
表通りの喧噪を横切ると、さっそく「Apollo」と書かれている看板を見つけた。
開場を待つ列は既に並んでいる。
劇場といえディズニーシーの世界が浮かぶのだが、
[「ビッグバンドビート」のブロードウェイミュージックシアターのモデル]は、
タイムズスクエア/42丁目駅のニューアムステルダム劇場だといわれている。
アポロシアターってなに?
アポロシアターは、多くの伝説のアーティストや歌手が誕生しており、マイケル・ジャクソンが所属していたジャクソン5や、スティーヴィー・ワンダーもここアポロシアターからデビューした。
そのほかにも、数々の有名アーティスト誕生のきっかけを生みだし、アフリカ系アメリカ人(黒人)文化の象徴的な存在である劇場として、アメリカ合衆国国家歴史登録財の認定を受けている。
多くの伝説のデビューのキッカケとなったのは、「Amature Night(アマチュアナイト)」と呼ばれるショーである。
プロへの登竜門といわれ、どんなスターが輩出されてきたか調べてみると……!(Wikipedia)
エラ・フィッツジェラルド Ella Fitzgerald
ビリー・ホリデイ Billie Holiday
ジェームス・ブラウン James Brown
ダイアナ・ロス Diana Ross
マーヴィン・ゲイ Marvin Gaye
ジャクソン5 The Jackson 5
スティーヴィー・ワンダー Stevie Wonder
アレサ・フランクリン Aretha Franklin
ベン・E・キング Ben E. King
ローリン・ヒル Lauryn Hill
サラ・ヴォーン Sarah Vaughan
など。
どれだけ「奇跡の地」なのか、震える感覚に包まれる。
Amature Night(アマチュアナイト)は、毎週水曜日に開催される。
会場はいつも審査員となる一般の観覧客によって超満員。観客の拍手の大きさによってその日の優勝者が決まる。
アーティスト達の夢が叶う、真剣勝負のこの舞台。
パフォーマンスがいまいちだと、劇場内の観客が親指を下に突き出して「BOO!!」とブーイングが寄せられ、その声が大きくなると箒でサッサッっと掃き出し強制退場させられる…という何とも厳しい一面も。
半分くらいブーイングするのを楽しみに来ているし、私もそのドキドキハラハラが見たかったひとりだ。
厳しいけれど、「エンターテインメント」そのものの劇場内において、
つまりは応援してくれる存在の母数も、キーの一つとなる。
そんな中、ニューヨークで音楽修行中の日本人の若手アーティストが、ちょうどアマチュアナイト に出演するという(しかも2人!)。
アメリカンドリームを夢見た熱い戦いは、どのようなものだろうか?
仲間たちと連れ立って応援に出掛けることにした。
チケットはどうやって買うの?
チケットはアポロシアターのホームページから事前に購入するか、窓口で直接購入することができる。
私たちは当日、チケット窓口で購入した。
手数料の必要がないので安くつくうえ、学割やシニア割引がある。(要ID)
1階 オーケストラ席:36ドル
2階 ローワー・メザニン席:30ドル
3階 アッパー・メザニン席:24ドル (2019年1月現在 公式サイトにて)
スマホのお絵かきアプリで「LOWER」と、人数とを書いて、受付さんに見せる。
列に並んでいるお客さんに向けて、出演者が「私を応援してください!」と声かけして回っている。
アポロシアターのアマチュアナイトに出場するには?
アメリカンドリームのチャンス、アポロシアターのアマチュアナイトには、オーディションで選ばれた人だけが出演できる仕組み。
オーディション日時は、アポロ・シアターの公式サイトに公開されていて、劇場にもオーディション日時を書いた紙が貼ってあるそうだ。
現地のコネクションある師匠に師事しているとアレだそうだが、そのあたりは詳しく聞いてはいけない。
オーディション
↓
アマチュア・ナイト
↓
上位入賞者は1ヶ月に1度行われる「ショーオフ」に出場することができ、さらに上位入賞すれば3ヶ月に1度の「トップ・ドッグ」へと進む。
さらに勝ち抜いて、年間チャンピオンを決める「スーパー・トップ・ドッグ」まで出場を進めたものは、 全米放送のテレビ版アマチュアナイト「Show time at the apollo」への切符を、オーディションやスカウトなしで手にすることが出来るという。
当日は、ステージで事前にリハーサルがあり、次に本番を迎える。
パフォーマンスがスタート!
いよいよ開演。
有名なコメディアンが司会役を務め、観客を笑わせる。
まずキッズ部門にあたる「Stars of Tomorrow」(5歳~15歳)。
「ブーイングなしね」という御達しがあるらしい。
休憩時間にはDJが場を盛り上げ、オーケストラ席がダンスフロアになっている!
後半戦から大人の部のコンテストが開始した。
ここからはブーイングOK。
ステージ横には「Tree of Hope(希望の木)」という切り株が置いてあって、出演者はパフォーマンスをする前に成功を祈り、手で木をスリスリ撫でる♪
出演した友人に「あれにはどういう意味があるの?」と尋ねると「わかんない」と仰っていた…!
後で調べると、アポロシアターの精霊が宿っていて、この木に触ってステージに上がることもショーの一環なのだとか。
日本人の歌手の出番は、真ん中くらい。
いえーい、せめて思いっきり拍手は送りたい!へへっ!とか思っていた。
拍手……する…として……
パフォーマンスが始まると客席は、歓声から困惑の色が広がって、前の席の人がすっごい勢いで声を上げてブーイングしはじめた
「ぶーーーーぶーーーー! うぉうぉ! ぶぅぅぅー!」
え?
おいおい??
なんだ、ここ???
あたりに広がる、奇声にも近いブーイングの咆哮。
彼はブーイングされていた。
えっなにこれ!?えっ!?歌聞こえないんだけど?
エンタメってこんなにストレス解消のツールなの!(文化すげぇ。)
困惑する感があるかも知れないが、それでもわたしたちは拍手を送り続ける。
混ざる混ざる、怒号と歓声が!!
彼は箒で掃き出されることはなく、最後までスタイリッシュに踊り続けた。まだ10代だそうだ。
けれど、たぶん残念ね。
パフォーマンス(5人くらい)が一通り終わったところで、全出演者は舞台に並び、一人ずつ前に出てくる。
観客は、自分が一番良いと思った候補者の時に思いっきり拍手と歓声を送る。
その大きさをデシベルで測定し、ビジュアルメーターで表示。
グイーンとメーターが上がり、
一番大きな声援を獲得したものが優勝となる!
応援していたアーティストが落選しても、アマチュアナイトのアプリがあり、ショーの後でも投票出来るセカンドチャンスがある。
ここからセカンドチャンスに向けて、帰り客に声をかけたり、SNSでの営業が待っているのだろう、か。
1パーセントでも勝ちがあるなら、その勝ちしか見ていないことを、胸を張って熱く伝える。
帰りは遅い時間となるので、「人の流れに沿って」「メインロードを歩く」など、気をつけながら帰宅したい。
地下鉄は24時間運行。
諸事情で閉鎖されることや、乗っている間にLocal(普通)が突然Express(急行)に変わったり、ドキワクの罠が頻繁にあるので、その場合は注意してアナウンスを聞きつつ帰宅する。
私が下宿していたのは中心地から45分ほど離れたクイーンズ郊外で、早速地下鉄閉鎖の罠にハマったので、バスを待つ。
「どこまで帰るんだい?OKここで合ってるよ。」と、ニューヨーカーのおじちゃんが優しく声をかけてくれる。
24時間いつでも帰れるのも最高💛
好き好き大好き・・・
異国の地で帰り道が分からなくなるなんて、とんでもなく心細いはずなのに。
深夜のマンハッタンを歩く足取りは軽く弾んでいる。
特別な街、奇跡の地。
自分の本当にやりたい夢があったら、誰かの拍手にチャンスを委ねてみるのもいいかも知れない。
そういえばマイケル・ジャクソンも、幸運の切り株をさすったそうだ。
名称 : アポロ・シアター
名称 : (英語) Apolo Theater
住所 : 253 West 125th Street, New York, NY U.S.A. 10027
開場時間 : 7:30 PM
チケット料 : 24〜36ドル
開催日時など : https://www.apollotheater.org/
最新情報はリンク先をご確認ください。こちらはあくまで参考ということでお願いします♪
作曲家、ドラマー、RECエンジニア
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『studio iota label』旅×音楽の8事業の社長・編集長
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