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目次
「音楽を辞めてしまおうか」
生まれて初めてそう思い始めたのは、厄年が始まる一ヶ月くらい前からで、それは日々の中でじわじわと影を落とし込んでいった。
すっかり参ってしまっていた。
父と乗っていた車のラジオから、「27歳でネイルの資格を取って31歳で独立した」という女の子のトークが流れてきた。
「物心もつかないうちから毎日音楽をやってきてたのに・・・。この子はたった4年で独立したんだ。」
それは音楽で食えないわたしの心を、無惨にもバキバキに割って砕いていくようだった。
予定していた海外に旅へ行った。
今までは旅の中で、率先して音楽のある場所を求めていた。
けれど今回はそんな場所の、どこへも行かなかった。
なんの真新しい音楽も耳に入れたくなかった。
東南アジアを回って、五カ国目のタイで「これではいけない!」と思い立って、国立公園へ行くトレッキングツアーに申し込んだ。
バンに揺られて3時間、ジャングルを見れるらしい。
しかし期待していたジャングルトレッキングはほんの1時間程度で、
あとは昼食を作ったり、牛車に乗ったり、象さんに乗ったり。
乗り物ばっかりで嘆きそうだった!(乗り物が苦手なのだ。)
山道を、バンはスピードを出して走っていく。
わたしは、 “乗り物にされた象” になんて、ちっとも乗りたくなかった。
降ろして・・・♨£§※! ←言葉にならない。
しかし、「旅はこころのデトックス」と言ったのは、菅野美穂さんだっけ?
すっかりデトックスされて戻ってこられたようだった^^
2月末に音楽流通会社との契約を無事にすることができた。
つまりstudio iota labelから【流通ができます】という事になる。
自分たちのアルバムのリリース日が決まった。
自分たちのアルバムのリリース日が決まった。
その時わたしは、たった一人で挨拶に行った事で、珍しくメンバーを叱るということがあった。
『 自分たちの仕事のパートナーをお願いする契約であり、自分で産んだ子(音楽)をお任せするというための日に、誰も「おねがいします」って挨拶しなくていいのかな? 』
アタマの中がグルグルとしていて、やたらと忙しく動いた。
どこか遠くで、警笛とクラクションが鳴り響く。
「わたしが間違ってたの?」
クラクション?
そうだ、アジアの音だ、これ。
タイのジャングルに行った帰り道
バンの中で、今回流通契約できた自分たちのアルバムを聴いていた。(というよりチェックしていた。)
くねくねの山道で酔いつぶれて、象乗り場のベンチに横たわり、象には結局乗らなかった。
帰りのバンが、市街地に入ってドンムアン空港へと差し掛かった時、近代的な街が急に姿を現した。
近年著しい発展を遂げたバンコクのビル群はまだ新しいものなのだろうか。
夕日の一瞬の光をうけてキラキラと輝く姿が、信じられないくらい美しく感じた。
このアルバムの為に、メンバーが託してくれた言葉があった。
世界を旅してきたバンドのリーダーである前田紗希が、混沌とした現代社会の中で“それでも世界は美しい”と伝えたい強い意思であり、願いが込められている。そして、ボーカルのいない楽曲は日本語が分からない世界中の人々にも伝えることが出来る強みであり、このアルバムは世界で多くのものを得た前田の感謝と恩返しになるであろう。
感謝と恩返し。
その言葉を繰り返しながら、バンは夕焼けのドンムアンの横を抜けて、あっという間に目的地のシーロムへと到着した。
夜になっていた。
ふと、わたしは周りのお友達や、音楽仲間たちや、家族を、とても愛しているのだと気付く。
みんなのいるこの世界で、今日も生きなくてはならないと思った。
美しい世界を見つければ、世界はいつだって、うつくしいのかも知れない。
あの時間が、一番いとおしかった。
その感謝を一番に伝えたくてタイからメールを打ったのは、今日 “叱った” あの人たちにだった。
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【studio iota label】
【LoFi Hiphop BGM】流れるイオタ『黄昏を駆け抜ける』 (Official Album Video) – Driving through the twilight
日本のレコード会社 studio iota LLC.では音源の企画制作・流通販売、WEBコンテンツの発信、企業のWebライティング、動画BGM製作、アーティストやお店などの写真撮影、作曲・編曲事業、レコーディング・ミックス事業などを行っています。
【ウェブサイト】http://www.studio-iota.com/
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