スペインの「ある場所」の写真を見た時から、いつかここへ行くんだろうと導かれていた場所がある。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路。
フランス国境の町からピレネー山脈を越え、スペイン北部のサンティアゴに向かう巡礼の道。要するに徒歩によるスペイン横断である。
すべて歩くと800キロメートルの距離で、日数は一日平均30キロ歩いても約一ヶ月かかる。
想像も付かない。本当に自分にできるのか?
バスク州からカンタブリア州へ。
ビルバオを出発し、歩くのは『グリーン・スペイン』と呼ばれる美しい田園地帯。
季節は八月ながら摂氏20度。湿り気のあるような緑色が道の両脇に果てしなく広がっています。
時おり斜面にちらちらと動く、イベリコ豚や馬がコントラスト。アップダウンを繰り返し、山間の小さな村をいくつも通っていきます。
他の巡礼者たちの姿がちらほらと見えてきました。
皆一様に巨大なバックパックを背負い、ボロボロの荷物をくくりつけて歩いているので一目で見分けが付きます。
初対面でも笑顔の多い巡礼者に、目が合うと挨拶をされました。
「オーラ! ブエン・カミーノ!(良い巡礼を!)」
ガッチリと握手をして、ニコヤカに手を振ってくれます。
これが、この道を行く人々の間での合言葉です。
※ Hola(オラ)は、やあ!英語の「ハーイ」と同じ。笑顔で。
死ぬまでにもう一度行きたい、カストロ・ウルディアレス。
カンタブリア海に面した美しいカストロ・ウルディアレス。
海沿いの小さな港町で、リゾート地らしい活気があり、絵画のような風景です。
と、水着の女の子たちに声をかけられました。
高校生くらいかしら?と普通に思ったら、耳打ちされます。「彼女達、まだ小学生くらいだよ」
なんともはや!
もう一度行って、その時に愛した人と一緒に景色を見てみたいとおもう、死ぬまでに。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路での過ごし方。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路には世界中から人が集まってきます。
スペイン、フランス、イタリアなどヨーロッパからが大半らしく、アルベルゲ(Albergue)と呼ばれる巡礼者のための宿泊施設では、主にスペイン語で会話がされているイメージです。
早朝に出発して、お昼過ぎに村のアルベルゲに到着し、巡礼者の証であるスタンプをクレデンシャルに押してもらう。早い者勝ちでその日のベッドを確保すると、あとは翌日まで宿を起点に過ごすことになります。
洗濯をしたり、食料の調達に出掛けたり。
アルベルゲによっては大広間のようなキッチンがあり、食事を作ったり、思い思いの会話を楽しんだりします。
移動するのが半分、同じ道中を歩いてきた人達と一日の終わりにコミュニケーションを取るのが半分。
ここではまず挨拶ができなければ、当然親切に話しかけてきてくれるひとなど、居なくなってしまいます。
商店でパンひとつ買う事ができなくて、お腹を空かせたままの日もあります・・・。
メニューもレジも無いけれど、口頭で伝えるためのスペイン語も分からない。
もっと会話できたらなぁと毎日情けなく冷や汗を流しており、語学の努力をしてこなかったのだから仕方が無いと。
歩いているだけで、「誰かに話しかけられたらどうしよう?…答えられない!」と怖くなってきます。
コミュニケーションは、どうやったって伝えようとする姿勢みたいなのが大事なんじゃないか、と、感じざるを得ません。
ですから言葉がしゃべれなくても、ジェスチャーでもいい、絵でもいい。まずは自分の出来ないことを認めて、それから方法を探すのです、きっと。
巡礼路に飛び込んでくる人は、おなじ日本人同士だろうと甘やかしてくれません。
自分から意思表示をすれば手助けをしてくれますが、助けを待っているだけだと、その間はゴハンも一人で食べることになるし、現地に溶け混んでいく人の姿に置いてけぼりにされてしまいます。
「伝える」ことって、言葉以外でだってきっと選択肢はいくらでもあるのでしょう。
旅って経験が必要なんですよね。あと強引さ。と旅の先輩が教えてくれました。
それなら一応一緒にパン分けてくれよ。
巡礼者が出会い、つながってゆく合言葉。
聖地とは言え、歩く理由は人それぞれ。映画や書籍にもなっていますので、近年はレジャー化している部分もあります。
皆、敬虔なキリスト教徒で、さぞかし悲痛な面持ちで歩いているのだろうと思いきや、近年はもっぱらレジャー化し、自分探し、ギャップイヤー、失業中のひまつぶし、小学生の修学旅行、リタイヤ後の人生を考えるため、美しいスペインの自然や食文化を楽しむため、スポーツ感覚で…と、人によってバラバラ。
国籍も言語も歩く理由も年齢もバラバラな道で、巡礼者と巡礼者が笑顔でつながってゆくのは、
「ブエン・カミーノ!(良い巡礼を!)」というあいさつ。
この言葉一つが、すべての巡礼者の共通項となります。
だっていろいろ困るじゃん、咄嗟に挨拶の言語バラバラだと。
面白いと感じたのは、「バル」の文化です。
バルは地元の人達の社交場で、メニューは(決まっているので)ありません。
喫茶店であり、レストランであり、酒場であり。待ち合わせ場所であり、トイレであり、散歩の途中の時間潰しであります。
どんな田舎でもバルがあるので、巡礼中はWi-fiを使ってメールを読んでいたり、水分を補給したり1日2~3度はお世話になっていました。
”オレンジジュースください”。 ←ひとつ覚えておけばとりあえず安心。。
カウンターの足下は、大都市でも田舎でも変わらずゴミだらけ。そして、ハエが飛んでいます。
その場で作る生絞りオレンジジュースが、染みました。
言語の壁に心疲れたら、いっそ「書いてない」ところがいいのかも。
【studio iota label】
【LoFi Hiphop BGM】流れるイオタ『黄昏を駆け抜ける』 (Official Album Video) – Driving through the twilight
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