【重慶大厦〜ラオス紀行】相手は変わらない、とらえ方が変わるだけ。東南アジア最後の秘境



こんにちは、studio iota labelの前田紗希(@nagareruiota)です。

 

「言葉をひとつ覚えただけで、乗り物にひとつ乗れるようになっただけで、これほど自由になれるとは思わなかった。
街頭で新聞を買い、小脇に抱えて歩いてると、おじさんおばさんに道を訊かれる事もあります。
異国にありながら、異国の人からの特別な関心を示されない。
こちらは好奇の目で見ているが、向こうからは少しも見られない。
それは、自分が透明人間になっていくような快感があります。」

 
この言葉は、言わずと知れたバックパッカーのバイブル本である、沢木耕太郎氏の深夜特急」の中に登場するセリフです。


主人公が「重慶大厦(チョンキンマンション)」という魔窟の安宿に滞在しながら、思いがけずアジアのディープ世界にどっぷりハマっていってしまう、というシーンで語られます。

 

わたしは思わず胸がドキッとなりました。(これについては後ほど)

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重慶大厦(チョンキンマンション)に潜入


悪の巣窟」「迷宮」「カオス過ぎる
など、物騒なウワサが絶えない重慶大厦は、香港の繁華街である『
ネイザンロード』のど真ん中に建つ古い雑居ビルです。



中には飲食店や両替、携帯端末店、売店、コインランドリー、床屋、ゲストハウスなどなんでも揃っています。特にゲストハウスは有名。香港屈指の安宿が集まり、世界各国から旅行者が訪れます。
 
「そんなに怖いところなの?」それとも「多くの観光客が訪れる観光地なの?」
studio iota 前田も、こわいもの見たさ重慶大厦へ一人で行ってみる事にしました。

 

入り口でいきなりパトカーがお出迎えしてくれます。
「ゲストハウスアルヨ」「ニセモノカワナイ?」「◯ラッグ ◯ラッグ」
studio iota前田にとっては、いきなりハードです。
 
カメラを持っていると、ちょっと恐ろしい目に遭います。
 

ちょっと恐ろしい目に遭います。

 
ちょっと恐ろしい目に遭います。
 
むしろ、あんなものをこんなことしていた黒人さんに囲まれて、カメラ取られてヤバかったです。
生きて帰れてヨカッタアルヨ。


冷や汗が止まらずに歩いていると、道を訊かれました。

問掛 あなたって英語しゃべれる?

まだ胸がバクバクとしています。わたしは息を整えて言葉絞り出します。

サキ ほんのちょっとだけ。

問掛 シャムロック ホテルはどこかしら?

サキ いや、
分からな・・・い!

問掛 困ったわ。どうしても知らない?

サキ ごめんなさい。わたしも昨日香港に着いたばかりなんですよ。



studio iota前田は、贔屓目ではなく、街の人と話したりよく道を尋ねられるほうだと思います。

 問掛 このショッピングモールのコインロッカーってどこだい?(中国に着いた日)
 
 サキ いや、
    知・・らな・・
 
頻度と言えば、旅に出るとほぼ毎日の事で、これを書いてる今だって女の子に道を訊かれています。



 問掛 私が今いる現在地って一体ドコなのかしら?(タイに着いた日)


 サキ いや、
    わたしも・・迷子・・

問掛 ハイド・パークのピーターパンの像って何処かしら?(イギリスに着いた日)

 
 サキ この道を真っ直ぐ行って左です!╭( ・・)و ←ハイド好きw
濃い顔でもなんでもないのに、しょっちゅう道を尋ねられるのはなぜでしょうか?
マヌケ面だから?(´・ω・`)
 
でもね、道を訊かれた日って、なんだか嬉しくなるんです。
きっとその街にスッと溶け込めてるのだと、思っちゃうから。(勘違い!)
 

そう、それは今から30年前に書かれた『深夜特急』のセリフの中にね、答えがあるんではないかと思うんです。

 
もう一度、読んでみましょうよ。

異国にありながら、異国の人からの特別な関心を示されない。
こちらは好奇の目で見ているが、向こうからは少しも見られない。
それは、自分が透明人間になっていくような快感があります。」
 
さすが上手な表現ですよね。
 

ルアンパバーンでも道を訊かれる


香港からベトナムへ渡りラオスへ
。東南アジア最後の秘境と言われている山間部の小さな町、ルアンパバーンという、とても素敵なところに到着しました。
 

湿り気のある濃厚な空気が流れています。

 

しかし、欧米人のバックパッカーが多すぎて、盛大に観光地価格が設定されており、道が人で渋滞していました。

クラブミュージックがガンガン掛かる桃源郷。

なにかがおかしいな。
 
蟻(アリ)の這うベッドの中で4つ打ち音楽で眠れず、怒濤の湿気で寒さに震えながら「わたしは一体何をしているのだろう?」 と考えていると、
急に目の前に現れた理想と現実のギャップを前に、どこかへポッカリと放り出されてしまったような気がしてきました。
 

夕日で有名なメコン川の反対側に、ナム・カーン川という名の支流があって、乾期限定で対岸に渡れる竹の橋が掛かっています。

 

橋のそばを歩いていると、道を尋ねられました。

 問掛 「この橋を渡るのって無料ですか?」
 
 サキ 「5000キープ(約72円)掛かるみたいですよ。」←散歩してた。
訊いてきたのは中国人のカップルで、ちょっと話すうちに、
「一緒にトライしない?」という話しになりました。
 

わたしたちは片言の英語で汗を流しながら、穴の空く竹の橋を渡りました。

 

橋を渡りきり、街の裏側から華やかな通りを眺めてみると、


早朝から観光産業で働いていているラオス人たちが、せっせと屋台でご飯を作り、トゥクトゥクの勧誘をし、洗濯物のシーツを干していました。


舞台裏からの光景。それは恐ろしいほど尊かったのです。

 
そうしているうちに、ふと心付いた事がありました。

クラブ音楽が鳴る秘境も、蟻の這うベッドも、ポッカリと放り出されてた気持ちも、
物事の一つの側面であって「絡み合いせめぎあいながら共存している。」のだと。




相手は変わらない。とらえ方が変わるだけ。

 
この橋を渡らなければ、きっと「自分の中で想像していた桃源郷とは違ったから、残念な場所。」と思っておしまい
 
ギャップなんてその人の考え方次第。

もっともっと、自分の「器」を大きくして、その時に縁があったらまた来よう。

 

わたしは、「道を訊かれる事が案外好きかも知れない。」と、

その時そう思ったのです。




 ライター 前田 紗希 

作曲家、ドラマー、RECエンジニア
国立音大⇨世界一周⇨NY
『studio iota label』旅×音楽の8事業の社長・編集長
音楽療法/写真/SEOライター/カフェ
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https://twitter.com/nagareruiota




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